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月明かりのDearest(カミュ藍)
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月明かりも消え、朝日がのぼり、ボクは仕事へ向かった。
「美風」
ボクの名を呼ぶ声。
瞬時に誰か分かったけれど、ボクは表情を変えない。
「何?」
「…今日の夕方、
開けておけ。」
「なんで?」
「午後は仕事、ないのだろう。
なら黙って俺に従え。」
「なにそれ。」
「…駅に17時だ。」
「ちょっ…カミュ…!?」
カミュは用件を伝え終わると、すぐに背を向けて行ってしまった。
そして、17時。
ボクはちゃんと駅に来てあげていた。
17時を少し過ぎたころ。
目の前に黒い外車が止まった。
後部座席の窓が開く。
「乗れ」
いつも命令系な口調。
ボクは何も言わずにそれに従う。
「で?何するの?」
「食事だ。
たまには、いいだろう。」
「まぁ、そうだけど…
突然すぎない?」
「最近のお前は、
意味の分からんことを
考えているようだったからな。」
「…え?」
「昨日の夜、
月明かりのDearestを
歌っていただろう。」
「なんで知って…」
「あの歌の最後、分かるか?」
「…ずっと一緒にいよう」
「そうだ。
俺らにだって意志はある。
感情もある。
だから、お前は何も考えるな。
俺だけを感じていれば、いい。」
「カミュ…」
遠まわしな言い方。
それが、なんだか心地いいと感じた。
心にかかっていた霧が晴れる。
ボクはカミュの手に、自分の手を重ねた。
fin
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