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2匹の猫に
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影宮視点
ガチャ。
いつもの様に玄関の鍵を開け、ただいまー…。と一言。
返ってくるはずのない《おかえり》の言葉を待つ毎日。
そんな言葉は決して返ってこない。
玄関に入ってすぐにローファーを脱ぎ捨て、スクバを床に放った。リビングに行くとミケと雪が出迎えてくれた。
<ミャー> <ニャー>
テトテトと俺の方へ向かってくる2匹の足音がとても愛らしい。
『なー……ミケ、雪。どうしよう。俺、またやっちまったよ……』
床にあぐらをかいて2匹を両手に抱え、スッと腰を降ろす。
いつも、何か嫌なことがあった時はコイツらに話すことが当たり前になっていた。
『俺、今日クラスメイトの脇腹を足蹴りしちまった…。
ホントは傷つけたくなかった…。でもアイツ、いなくなれって言ってんのにしつこく言ってくるからついカッとなって…。
気づいたときには、もうアイツは地面に転がってたんだ。…なぁ、俺、どうすればいい…………?』
問いかけに答えは返って来るわけないとわかってはいるけれど、他に話を聞いてくれる奴なんていやしないんだ。
仕方ないじゃないか。家族もコイツらだけなんだから……
そんな俺の顔を2匹はじっと見つめていた。
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