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クロさんに見せる笑顔
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俺は、少しの空腹に目が覚めた。
見ると制服だったはずが、いつの間にかスウェットに着替えさせられて熱も若干、下がった様に感じられた。
そして額には、冷えピタ。
『んんっ、あれ?俺……制服で寝たのに……あれ…?』
朦朧とする意識の中でうっすらだが、記憶に残っている事がある。
1つ目。
制服を脱がせてもらい、スウェットに着替えさせられた事。
2つ目。薬を飲んだこと。
薬……………。あれ?薬って自分で飲んだんだっけ…?
何か…
そう…。何か柔らかいモノが唇に当たった気がするんだけど…。
無意識に後ろを振り向くと、片足を立て、もう片足は床に付けた体勢で壁に寄りかかりながら寝ている影宮くん。
その横にはクロさんが丸くなっていた。
((………えっ!何で影宮くんが俺の部屋に?!
え、え、何で?!?!
確かに俺、影宮くんにベッドまで運んでもらったよ?
もう夕方の4:00……って事は、
あれから5時間は経過してる…。
ずっと俺の側で看病してくれたって事……?
じゃあ、あの薬を飲ませてくれたのは……………。))
一気に顔が熱くなる。
((え、じゃ、じゃあ。あの柔らかいモノは………
まさか…、影宮くんのくちb……))
『んんっ…………、』
ゴソッと横から物音と声がしたので布団に潜り込んで
しまう、何してんの、俺。
その物音は影宮くんが起きた音だった。
立ち上がって伸びをすると首をコキっコキっと鳴らす
『あー……ヤベ、寝ちまった……。柳田は……………
…お、まだ寝てんな。熱はどうだ……?』
影宮くんが、ベッドに近づいて来た。
俺は、さっきの事が恥ずかしくてまともに目を合わせる事が出来そうになかったので思わず寝たフリをしてしまった。
ヒンヤリと冷たい影宮くんの手が頬に触れる。
((あ………、影宮くんの手…気持ちいい…))
『おっ、さっきより熱くない……良かった。
熱少し下がったのか…。
ったく…心配かけさせやがって。
無理すんなよばか………。
でもまぁ…頑張ったな、………………海翔…。』
影宮くんは、そう言って俺の頭をクシャっと撫でる。
今までずっと苗字呼びだった影宮くんにいきなりの名前を呼ばれて、しかも頭を撫でられた事で俺はちょっとした
パニック状態。バクバクと心拍数が上がる。
心臓…うるさい………。なにこれ…。
((?!?! 今、初めて名前呼ばれたっっ……!
え、何。どゆこと……。いきなりのどしたの影宮くん…
ま……嬉しいんだけどさ…))
俺は、いつもとは違う影宮くんの行動を寝たフリを続けながら布団の隙間から見ることにした。
『お前ちゃんとご主人様を心配するなんて偉いじゃねぇか。あ、お前毛並みつやつや。
ご主人様に整えてもらってんのかー?』
影宮くんの話を聞いていたクロさんは
<ナァーーオ>と小さく鳴いた。
『そーか、そーか、
良かったな。優しいご主人様でよー、』
クロさんを撫でながら微笑んでいる影宮くん。
クロさんも影宮くんに撫でてもらって嬉しそうだったし気持ちよさそうに喉を鳴らしていた。
俺は、影宮くんのそんな顔を初めて見る。
だって、今まで影宮くんが人の前で笑うところを、俺は見たことが無かったから。
いつか俺にも、あーやって微笑んでくれるのかな。
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