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友達ってなんだよ、
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影宮くんの事をもっと知りたいと決めた俺は、職員室を出た後影宮くんの家に行くことにした。
上履きからローファーに履き替え、昇降口を出ようとすると桜の木の下に子猫が丸くなっている事に気づいた。
俺は子猫に駆け寄り、
『影宮くん………俺に自分の事、話してくれるかな…』
と問いかける。
もちろん返答は帰ってこないが俺の頬を舐めてくれた子猫に元気をもらえた気がした。
またな、と手を振ると校門を出て影宮くんの家へ向かった。
夕方。携帯画面を開くと時間は5時だった。だが夏が近いため、外はまだ明るかった。
夏の初めを知らせているような風がいつもより涼しく、
心地いい。俺は緊張しながら影宮くんの家まで歩いていった。
影宮くんの家の前に着き、深く深呼吸をする。
玄関の前に立ち、インターホンを鳴らす。
『影宮くーーーーん、いるーー?帰ってきてるーー?』
呼びかけるとドアが開き、呆れた顔の影宮くんが顔を覗かせる。
『……んだよ、いきなり……なんで俺ん家来てんの?
なんか用?』
『あ、あの、さ…………ちょっと話、あんだけどいい?』
影宮くんは俺の言葉を聞くと《?》というような顔を一瞬したが『…ん……』と俺を家へ入れてくれた。
久しぶりの影宮くんの家。
俺が家に上がらせて貰えるのは今日で2回目だった。
最初に入った日は雨でずぶ濡れになった時だったっけ…。
ずいぶん前の事だった様に感じる。
『俺の部屋、階段上がって奥から2番目のとこ。
飲みもん持ってくから先言ってろ』
『あ、うん、ありがとう』
2階への階段を上り、影宮くんの部屋に入る。
部屋はシンプルだった。必要な物以外が無いし、きちんと掃除されている感じだ。
本棚には
【猫の飼い方】【猫と暮らす】【猫の想い】など猫に関する本が沢山置いてあった。
((………やっぱり猫好きなんじゃん…))
小さく微笑む。
俺は真ん中に置いてあるテーブルのところに座り、
影宮くんが来るまで、
《何て言って話、始めよう…》とか《嫌われたらどうしよう》とか、ごちゃごちゃ考えていた。
少し経って部屋のドアが開いて影宮くんが入ってくる。
『麦茶しか無かった。文句言うなよな』
『いやいや!言わない言わない!ありがとう』
テーブルの上に、氷と麦茶の入ったグラスが置かれて表面に付いた水滴が机を濡らす。
先に口を開いたのは影宮くんだった。
『…………………で?俺に話たいことって何?』
影宮くんがグラスを口元に運びながら退屈そうに言う。
『え、えと…………。』
実際、言おうとするとどうしても緊張してしまい言葉が頭の中でぐるぐるする。
『は?なんで、おどおどしてるわけ?早く言えよ』
影宮くん、思いっきり不機嫌。
早く言わなきゃ…。
『あのさ、俺、影宮くんと友達になりたい!
……ん…だけ、ど……さ』
緊張と焦りで、声のボリュームがどんどん小さくなっていった。
『は?友達?
………………………………………いらね。』
影宮くんの口から出た言葉に驚く。
『な、なんで?!』
『………友達なんて邪魔なだけ。
いつ裏切るかわからねぇし、信用できねぇ。
何より友達の必要性がわからねぇ』
『ひ……必要性って……
友達は…さ、側にいてくれるだけで嬉しいもんだよ?
影宮くんも雪やミケ、学校の子猫と一緒にいるだけで楽しいだろ?それと同じだよ。
楽しい時、辛い時、悲しい時、嬉しい時……
どんな時でも誰かと一緒ならどんな事だって乗り越えられる気がしない?
側にいてくれるだけで嬉しい。安心する。楽しい。
友達はいてくれるだけで自然とそう感じるもんだって
俺は思うんだけど…。
俺は影宮くんと友達になりたい。ダメかな?』
すると影宮くんは顔を下に向けたまま衝撃的な発言をする。
『…………俺は………友達を作らないって決めたんだ。』
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