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鼻のいい奴
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俺達5人は、それぞれ自然に関する言葉が名字か名前、どちらかに1つ入っていた。
『海翔』→海
『陸人』→陸(大地)
『風霧』→風
『日向』→日(太陽)
『月島』→月
という様に。
これに気づいたのはバスケ部の自己紹介の時。
『1年生5人全員、自然に関する名前付いてんだなー!
偶然だけど、すっげーーっ!』
皆で盛り上がった事をよく覚えている。その日から
俺らは周りから《nature5(ネイチャー ファイブ)》と呼ばれることもあった。
※nature…自然。
どうやら【5つの自然】と、いう意味があるらしい…w
朝練は7:00から始まる。
1年生は毎朝、先輩よりも早く来て体育館の鍵を開け、ボールを出し、ゴールネットを下ろしたりの準備をする。
俺が来てから約15分後。体育館入口付近が、先輩達の声でガヤガヤしだす。
((あ、先輩来たかな?))
先輩来たよーっ、と皆に知らせる為すぅっと息を吸う。
その時、駆の声が。
『先輩達、来たようやでー?はよ準備終わらせて集合せなっ!』
姿が見えなかったので体育館をぐるぐると見回す。
すると駆は体育館入口から結構離れている体育倉庫の中から小走りで出てきた。どうやら中でボール磨きをしていた様だった。
『え、ちょ、駆?!何で先輩達来ってわかったの?!』
体育館の入口付近の隅の方でモップがけをしていた俺でさえ、先輩達の声に気づくのに時間がかかったのに…。
駆は磨いたばかりのツルツルのボールを両手に数個抱え込み、俺の質問を聞いて首を傾げる。
『んーーー、何でって言われてもなぁ…。匂いがしたんや』
『え、……?匂い……?』
『せや、匂い。何やろなぁー、洗いたての洗濯物…みたいな匂いや!柔軟剤か洗剤の匂い!たぶん先輩達のスポーツTシャツの匂いやんか?』
俺は唖然とした。
あんなに入口から距離が離れているのに、匂いなんてわかるはずないじゃないか、と。
俺達の会話をゴールネットを降ろしながら2階の手すりに腰掛けて聞いていた京介が冗談半分で笑いながら言った。
『それ、凄いことやん?あないに離れた場所から匂いを嗅ぎ分けられるなんて。お前の祖先、犬やったんやない?』
『……お、俺の祖先は…い、犬やったんか……でも俺の、おかんとおとん…人間やで?え、どーゆーことや…』
京介の冗談を間に受けてしまった駆。下を向きながらブツブツと何か囁いている。
『……おーい、京介ぇ………これどーすんの、』
俺は下にうずくまっている駆を指差して呆れながら言った。京介は、くくっと笑っていた。
会話に気づいた他の2人が集まって来る。駆の背中を優しく擦りながら話しかける陸人。
『か、駆……?大丈夫だよ…、犬から人間が産まれるわけないからさ…、ね?』
『ったく、京介…!駆がバカな事はわかってるだろー?やめたれー、』
((…え、柚樹…。それ…))
『すまん、柚樹…。それ、フォローになってへんよ…』
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