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テストの珍回答
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((影宮くんに勉強教えてもらうのかぁ…))
『っはぁ……心臓に悪い…』
俺は台所リビングのレンジでミルクを温めながら呟いた。
『何が心臓に悪いん…?』
突然後ろから声が聞こえて振り向くと、そこには京佑が立っていた。
『うおぉぉ?!びっくりしたぁ…。何でいるの…?』
『いや…今日の海翔、様子おかしかったから。なんや、オドオドしとるって感じ?
せやから何かあったんやないか思てなぁ』
((…えっ、バレてる…?いや、バレてる訳ないよな…?))
『なっ、何でもないよ。心配してくれてありがとう』
『そか、ほな。』
手を振りながら階段を登って行った。ドアが閉まった音を確認してから俺はその場にしゃがみこむ。
『……………っぶなかったぁ……!確かに京佑はカンの鋭い奴だけどさすがに男同士でキスしたなんて言えるわけない…』
━━━チーンッ!━━━
…ゴンッ!
『うおぁっ!?!?!!?い゛てぇっ!』
温め完了のレンジの音に驚いてテーブルの角に頭を打ち付け、鈍い音がした。
((どんだけ焦ってんの…俺…………。早く影宮くんにホットミルク届けなきゃ、))
俺はレンジの中からカップを取り出してから階段を登り、ドアを開ける。
『あ゛ーーーーーー、何でこんな問題が理解出来んのやろ、駆はーーー…。勘弁しとくれやす…。
それに部屋に男ばっか集まってこんな時間から何してんのやろぉ…。ほんまやったら今頃、俺は女の子と遊んでたんやろなぁ……。』
横になり、クッションに顔を埋めながら京佑が嘆いていた。その横にはノートや教科書を睨んでいる。
『お、おぉ。…どした…、』
『1部屋に男6人って絵面どーなん……?むさくるしい男が勉強会て……はぁ…悲しくなるわぁ…。しかも駆、全っ然わかってくれへん……』
俺は駆が睨んでいる教科書を覗きながら言う。
『今は…国語か。1番点数悪いもんな…どこがそんなダメなんだよ、』
『こ、これ………見てみぃ…』
そう言って京佑が俺にプリントを手渡した。そのプリントには国語の問題が書いてあった。
『それ……沢城先生に以前貰った国語のプリント。
今までの総合問題なんやけどさっき駆にやって貰ったんや。問題と回答読んでみればわかるはずや…』
俺達4人は、プリントを眺めた。
『えーと…国語。古典の問題か』
*《なよ竹のかぐや姫》の文章を読んで、問に答えよ*
Q1、なぜお爺さんは光っている竹を切ろうとしたのですか?
A、(金が無かったので持って帰って売ろうとした)
⚠︎光っている竹を不思議に思ったから。
Q2、数日経つとかぐや姫は、どうなりましたか?
A、(ごっつでっかくなった)
⚠︎大人の女性になった。
Q3、かぐや姫は最後、どうなりますか?
A、(死んだ)
⚠︎月に帰った
*《春はあけぼの》を読んで問に答えよ*
【夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほかにうち光て行くもをかし。雨など降るもをかし。 】
Q1、この文章を訳しなさい。
A、全ての生命が寝静まる夜は気持ちいい。
月は皿の様な形だ。漆黒の闇には蛍が光を灯して死者を弔っている様に思える。中でも1匹、2匹の蛍がとても綺麗に光を放っている。天空から舞い落ちる水滴だけでなく、お菓子が降っても最高だ。お菓子、美味しい。
⚠︎夏は夜が良い。月が出ている夜はもちろんのこと、闇夜もまた、蛍が多く飛び交っている様子も良い。また、たくさんではなくて蛍の一匹や二匹が、かすかに光って飛んでいるのも良い。雨が降るのもおもむきがあって良い。
Q2、次の俳句を
パタンッ………
しばらくの沈黙。問題を確認している途中だったが
俺は駆の解いたプリントを思わず半分に畳んでしまった。
『どや………、俺の言うてる意味、わかったやろ…?』
『……………え…………?』
『………………………。』
『…………これ、え…………?』
『……怖…………………。』
『?』
俺達が固まっている間、駆は俺達の会話の意味がわからないようで首を傾げている。
そして最初に口を開いたのは柚樹。
『な、……なんっだこれ!!!!!!!!これが高校生のテスト?!?!?!?小学生の珍回答か!!!』
『これは………京佑が手を焼く訳だね……』
『やっべぇ………こいつほんとにバカなんだな』
冷たい目で言うみんなに駆が反撃。
『なっ………!!みんな酷すぎやない?!これが今の俺の実力や!!文句あるか!!』
『文句あるわ!文句おおありやで、ほんまに!
何で爺さん光っとる竹売ろうとしとんねん!その時点でかぐや姫の話、終わってまうで!
この際、《ごっつでっかくなった》は置いとくけどな、
《死んだ》って何やねん!!勝手に姫さん殺したらあきまへん!!!!
それに、春はあけぼの!!!!!なんやあれ?!何で所々、中二病こじらせとんねん!!
《お菓子が降っても最高だ。美味しい》この文章なんて、わけわからへんわ!!お前の頭の中、どーなっとるんや!』
『っ………はぁ…はぁ……はぁ…っ、』
一気に突っ込んだから疲れたのだろう。京佑は息切れしていた。
『ちょっ……はぁ、休憩さしてもろてかまへんやろか…影宮はん。ちょお、ベッド貸してもらいます…』
そう言うとベッドに倒れ込んだ。
『んーーー……?そんなに違かったんかな…?真面目に答えたつもりなんやけどなぁ…』
((いやいや……………それ誰が見ても真面目に答えたとは思えないから……))
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