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タオルケット事件1
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あっという間に時間は午後9時になろうとしていた。
朝の10時頃に来た筈なのに、こんなに時間が経つのが早いと思っていなかった。
俺は影宮くんに、ずっと数学を教えてもらっている。
京佑はあのまま、寝てしまったようで全然起きてきそうにない。ペアである駆は今日は国語を諦め、柚樹と交代で陸人に英語を教えてもらっている様だった。
『やっと終わったぁぁ…
今日はめっちゃ疲れたぁぁ…影宮ぁ、早めに風呂借りてもええ?』
『おう、もうお湯沸かしてあるから入ってこい。1階の奥』
『ほーい、おおきにーー』
そういいながら手を振って風呂へ向かった駆。
今やっている分野はどーしても苦手だ。
影宮くんに少しの間、時間を取ってもらい1人で解こうとしているのだが何分経っても全く進まなかった。
それに気づいた影宮くんが話しかけてくれた。
『…どうした?詰まってんのか?』
『うん………ここから先、この角度をどーすれば答えが出るのかわからなくて…』
テーブルの上の教科書の問題とノートに書いてある計算を影宮くんに見せる。
『あー、ここか。大丈夫、途中まで出来てるぞ。
計算して答えがが出たら、このページの定理を使って、ここの角度とここの角度を比べて……』
影宮くんが俺の背後からシャーペンをスラスラとノートへと走らせながら説明していく。
影宮くんの骨張った綺麗な手…。耳元で囁くいい声。
((耳元で囁かれるとゾクゾクってなるな……影宮くんの声、かっこいいなクソッ………))
『……………おい、柳田?』
『はい゛っ?!?!』
ヤバイ…。耳元で囁かれてたから全然聞いてなかった…。
『ご、ごめっ。考え事してて…』
『ちゃんと聞いとけよなー、』
ははっ、と苦笑いしてごまかした。
しばらく経って駆が風呂から上がり、部屋に帰って来た。
背中に《肉食動物》と大きくプリントされている赤のTシャツと短パンを身につけ、首にはタオルがかけられている。
((服のセンスどーなってんだよ………w))
『風呂おおきに、家もデカイけど風呂もデカイんやな!』
『おー…、良かったよ。
あ、もうこんな時間か…。休憩にすっか、疲れただろうしな』
時計を見ると既に10時を回っていた。
『あ、ありがとな』
会話に気づいた柚樹が俺の方にやって来た。
すると駆がベッドへ向かって行った。ベッドには腕を枕にして丸まっている京佑が俺達に背中を向けて寝ている。
((……なっ、何するつもりだ?駆。まさかさっきの、くすぐりの仕返しすんじゃないだろうな…?!))
『ちょ、待っ、駆!』(コソッ
『やめとけーーー…』(コソッ
だが、京佑をくすぐる訳ではなかった。
駆はベッドの横にあったタオルケットを京介の身体にそっとかけたのだ。
((駆……、京介とは仲悪いけどいいとこあるじゃん…))
その時、
『………んん………、』
もぞもぞと体勢を変えた。俺達の方に顔が見える体勢になる。
さすが、あだ名に《えろ》と付くだけある。
黒髪にピアスにめがね、整ったモテる顔つき。なにかエロい雰囲気を感じた。
『今起きたらヤバイな、目ぇ開けたら嫌いな奴がいるんだからな、』
『そうだなwwwwwwww』
………なんて、柚樹と笑いながら話すんじゃなかった…。
予感は的中した。
体勢を変えた京佑が寝惚けてタオルケットをかけている駆の腕を掴んだのだ。
恐らく、背が小さいし部屋の明かりが逆光となっていたため、誰かと見間違えたんだろう。
『あっ…。えっ……』
驚きで口をパクパクさせていた。どうしたらいいのかがわからないのだろう、手をブンブン振って俺達に救助を求めている。
だが、そんな駆の姿を見るのは面白かったので、あえて助けには行かなかった。
だがまさか、あんな事になるとは……。
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