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初めてだったんだ。
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暑いし心臓がまだバクバク言ってるしで、なかなか俺は眠れなかった。
チッ、チッと時計の針が動く音だけが聞こえてくる。
しばらく経って影宮くんの声。
『………なぁ、柳田。起きてるか……』
『かっ、影宮くん?!寝てなかったのか?起きてる、影宮くんも眠れないの?』
俺は影宮くんの布団の方に身体を向ける。影宮くんは手を頭の後ろで組んで天井を見つめながら話していた。
『ま、まぁそんなとこ…。それより、ありがとな。』
『へぁっ………?』
突然の言葉に戸惑ってしまう。
『勉強会。俺も誘ってくれて。お前の友達紹介してくれてありがと。
……俺、今日みたいに友達と勉強したり飯食ったり枕投げしたり…そーゆーの初めてだったんだ。
前、話したけど小学生の頃、友達なんていなかったし母さんの精神状態が不安定で俺が側にいなきゃいけなかったから修学旅行とか行けなかったんだ。
もし行ってたら、こんな感じなのかなって思えた。
生まれて初めて楽しいって、お前らと一緒にいたいって思えた。
だからありがとな。じゃ、それだけだから。おやすみ』
『お、……おやすみ。また明日。』
俺は目から温かいモノが溢れ出した事に気づいた。
((本当はずっと不安だったんだ。影宮くんがまた傷ついちゃったらどうしようって。こいつらを家に連れて行っていいのかなって。
でも、あんな楽しそうな影宮くん初めて見た。
それは、こいつらのおかげ、なんだよな…。良かった……))
俺は目をつぶって眠りについた。
この時の会話を4人が、こっそり聞いていたと知るのは、まだ先の話…。
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