アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
追われる者
-
『はぁ…はッ、……………着いた……』
京佑が向かったのは学校だった。
連休中なので先生は校舎内に1人もいない。もちろん正門も閉められていたので、ひょいっと門の上を飛び越えて侵入する。
スタッ………………。
『あ…確かあそこに合鍵が………』
バスケ部の先輩が以前鍵を無くしてしまった時に顧問の先生には内緒で作られた鍵が部室の入口のマットレスの下に隠してある、という話を海翔に聞いた事があったのを覚えていたのだ。
部室へ向かい、マットレスをそっと捲り上げた。
『あ、あった……………』
海翔の言っていた通り、そこには小さな鍵が隠されていた。鍵を握りしめ、急いで体育館へ向かう。
普段なら外から行くのだが雨が強くなってきた為、1度校舎に入って、そこから体育館へ向かう事に。
ヒタヒタと濡れた靴下で冷たく暗い廊下を進んで行く。
いつもは男女の声で賑わっている校舎だが今は誰もいない。
…いつもの廊下、いつもの教室、いつもの風景。
シンと静まり返っているその校舎内はなんだか不気味な雰囲気を放っていた。
体育館への廊下を走り抜けて体育館の前に着いた。
『おっ…、』
体育館の扉は数cmほど開いていた。中からはボールが床を跳ねる音がダムダムと体育館内に反響していた。
京佑はそっと体育館の中を扉の隙間から覗き込んだ。
思った通り、そこには駆がいた。
『はぁ…はぁ……、おらぁぁぁ!!!!!』
駆の叫び声と共にダンッ!!という音。駆がダンクシュートを決めたのだ。
駆は身長は低いがバネはある。
普通の人が届かない場所でも駆ならジャンプ1つで届いてしまう、という事も何度かあった。
『やっぱバネはあるんどすなぁ……』
覗き込みながら呟く。
『だ……………。まだや……!こんなんじゃ足りひん!』
再びボールを手に取り、ドリブルや速攻、3Pシュートなど様々な技の練習をしていた。
俺は駆のその姿と寒さに耐えられなくなり扉をガラッと開けた。
『ったく…………こんな寒い体育館でいつまでそれ続けるつもりや』
『………京佑っ………?!何で…何でここにおんねん…』
『何でて、あんたを探しに来たに決まっとるやろ?』
『………………………。』
『何で俺を探しに来たんや!何でここに居るってわかったんや!俺はさっきお前を………お前を叩いたんやで…。』
『あぁ、ほんま痛かったでーー、あれは。』
頬に手を当てながら言う。
『……すっ、すまn…………………。』
『でもな』
駆の言葉を遮った。
『さすがに言い過ぎた、思てんのどす。悪かった思てんのどす。
………………………すまんかったなぁ』
『………………っ?!』
『謝るのはお前やない、俺の方や。』
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 114