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《目》2
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影宮視点2
ずっと怨んできた相手の顔は忘れない。
いや、忘れる訳がない。
確かに十数年前よりは少しだけ老けてはいるが、あまりその容貌は変わっていなかった。
数十年前の記憶が蘇る。
あいつは、俺が母さんから暴力を受けている事を知っていたのに。影で見ていたのに何もしなかった。
1度だけ泣きながら助けを求めたが、その手を薙ぎ払われ
『汚ない手で触らないでくれないか』
一言だけそう呟くと、そのまま俺を外の物置に閉じ込めて去って行った。
随分と昔の記憶が一気に溢れ出てくる。
息が詰まる。
呼吸が乱れる。
手が震える。
怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、
(なんで………なんでお前がいるんだ………!なんでッ!)
まだ、あいつが何故この学校に来たかも知らないし、何をしようとしているのかもわからない、どこに住んでるのかもわからない。
とにかく少し、様子を見よう。
そう思った時。
あいつと柳田が以前会っていた、という事が判明した。
【かつ………ら…ぎ…?】
あいつは、もう《影宮》という苗字ではなく《葛城》という苗字に変わっていた。
もう俺は怒りと恐怖を抑えきれなくなり、教室を飛び出した。
後ろから誰かに声を掛けられたが、そんな事はどーでもいい。
とにかく今は、少しでもあいつから離れたかった。
俺は廊下を、走ってその場から逃げ出した。
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