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人間の心理
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影宮視点5
『沢ちゃん先生。影宮見つかりました』
あの後、俺達は仲直り(?)をして今、職員室の沢ちゃん先生の元に来た。
先生も心配していたし俺が見つかった事だけでも報告した方がいいだろ?、という柳田の意見だ。
『おーーーッ見つかったか!!良かっt……
って、え?!
ど、どしたんだ柳田……。目、真っ赤だぞ?泣いたのか?』
『影宮のせいです。気にしないでください』ズビッ
『お……おう…。状況はよくわからんが鼻水啜ってないで鼻かめ、ほれ』
そう言って沢ちゃん先生は机の上にあったボックスティッシュを柳田に渡した。
『ぶびぃぃぃぃぃしゅ!!!………ッはぁ…』
『まったく……、もー少し静かにかめないのか、お前は』
『はい゛。』ズビッ
『まぁ、見つかって何よりだ。あたしは影宮と、ちょっと話するから柳田。お前は早く部活行け。お疲れさん』
『はい。失礼しました。また明日な、影宮』
柳田が軽く手を振りながら出て行った。
職員室には沢崎先生と俺だけ。
………き、気まづいな……。
先に口を開いたのは沢崎先生。
『さーーて影宮。話聞かせてもらおうか。
まぁ、言いたくないなら無理に言えとは言わないけどさ。
どうしてあの時、教室から出て行ったの?』
(何て言えば良いんだ………?
【葛城は、俺の親父なんです】
いやいや、さすがにこれはまずいな。
まだあいつの事全然知らない訳だし、少し様子を見る必要があるからな。
【怖かったから】
ガキの言い訳にしかなんねぇな……。
この先生、人の考えてる事見透かす様な事言うからちょっと苦手なんだけどな…)
『あれ?もしかして、あたしの事苦手とか思ってる?』
『…えッ』
なんで俺の考えてる事わかんだよっ!
『いや、別に』
『影宮、今あたしに嘘ついてるでしょ、それに隠し事があるはず』
『…………………………え?』
『まばたきだよ。まばたき。
人間はな、神経に大きなダメージが与えられると、つまり緊張すると、まぶたの筋肉や心臓の鼓動などに変化が現れるんだ。
柳田が居なくなってからのお前を見ていたが、いつもより断然まばたきの回数が多いんだ。
それに、いつもあたしと話す時は目を合わせて話すのに今はお前とあたしの目が数回しか合ってない。
人間は嘘を付いている時、
心のどこかに嘘をついている事への罪悪感がある。
それが形となって表れるのは目線なんだ。
後ろめたい事がある時に、人は相手の目を見て話すことが出来ない。
この事から察するに、
あんたはあたしに嘘をついてる、って思ってな。
どー?合ってる?合ってる?』
ドヤ顔をした後、ニコニコと笑いながら俺に問う沢崎先生。
(え……、なんだよ今の)
確かに以前から生徒の事をよく観察しているとは思ってたけど、正直言って今の話を聞いてビビった…。
あそこまで専門的な知識、普通の高校教師が持ってる訳ねぇよな……。
『な………………なんでそんな事……』
『驚いたか?www』
腕と足を組んだまま、沢崎先生はニッと笑った。俺が頷くと先生は淡々と話を続けた。
『あたしの父さん、心理学者なんだよ。
あたしは小さい頃から父さんの仕事を横で見てきた。仕事内容を見ているうちに、その内容とかを覚えちゃってさー、人間の心理の面白さに気づいて父さんの意識を継ごうと大学を目指したはいいが試験が難しすぎて落ちた。
んでっ、今こうして普通の高校教師やってるって訳!
わかってくれたかな?』
『まぁ……………………はい』
『ま、話したくないなら別にいいや。
でも、もう柳田を心配させるような事はするんじゃないぞ。
柳田は、お前が教室出て行ってから授業中もずっと心配して授業に集中できて無かったんだよ。
全ての授業が終わった後、クラスの誰よりも早く教室から出て行って探しに行ったんだ。だから、ちゃんとお礼言っとけよなー、
よし!今日はもう帰っていいぞ!お疲れ様!』
『……………………うす…失礼します』
結局、先生には何も言えなかったがその日は
これだけで終わりの様だ。
廊下に出ると暗くなりつつある職員室前の廊下が長く続いている。
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