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第二罪 「黒ト紫」Ⅱ
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次の日、俺は花賀城の最上階にある俺の為の間、雅の間で、傍に付いてくれている少年と、ゆっくり時を過ごしていた。
「お前は夜か昼、どっちが好きだ?梢(コズエ)」
そう、隣の美しい茶色の髪を持つ少年に聞いてみた。
「そ、そうですね…。
やっぱり僕は夜が好きです。
この街の本来の姿でしょうから」
縮こまってそう答える梢の頭を軽く撫でながら話を続ける。
「そうか、俺も同感だ、梢。
この街は、永遠に夜が明けねぇ訳でもねぇし、永遠に美しいままの花魁も存在しねぇ。
だからこそ、その短い夜の間の儚い夢は際立つ。
この街は、そうやって人々を虜にするんだ」
梢は嬉しそうに俺の手に自分の手を重ねた。
「そうですね。
しかし、昼は男娼達が唯一ただの男に戻れる時間。
この街の全ての男娼にとっては、昼こそが夢なのかもしれないですよ?」
上機嫌で得意気に話をする梢を、微笑ましく思い笑みが零れた。
「は、それもそうだな。
でも、全員がそうとは分からないぜ。
たった一夜の愛でも、求められなければ生きられない輩だってこの街には大勢いるさ」
立ち上がり、外を眺める。
街には沢山の男娼達が歩いている。
「そうさ。
求めて、求められて。
例えそれが偽りだとしても、その寂しさに病みつきになる連中を、俺達は食い物にしてるんだからな」
「……はい」
頬を赤く染める梢を見つめ、居間に戻ろうとした時、
屏風を開ける音が鳴り響いた。
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