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…負けました
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「誘也、貴方の気持ちも分からないでもないけど…そんな事で自分の好きなもの諦めてしまうの?」
「──っそんな事じゃない!!俺はこれからもずっと…もしかしたら永遠にこの特異体質に悩まされなきゃならないかも知れないんだ!!母さんには俺の気持ちなんか分からないよ!!」
母に自分でも思い悩んでいた事を指摘され、勢いに任せてそう言ってしまった瞬間、まずいと思った。
ある日を境に、この特異体質に悩まされ続けてきた俺を、いつもどんな時も庇って慰めてくれていたのは、紛れも無く母さんだったのに…気持ちが分からないなんて嘘だ。
酷い事を言ってしまった。
「そう、ね、でもね誘也、兄さまは普通の一般入学でも構わないって言ってくれたの。本当は誘也も一緒にアメリカへと思っていたけど、体質の事もあるし、日本に残った方がまだいいのかなとも思ったの」
「……っ」
「この家ももう引き払ってるし、入学手続きと入寮手続きはもう済ませてるから」
ごめん、母さん…。
「っっ、分かった。伯父さんの高校なら入学……」
──ん??
「でも聖鳳学園に学生寮があって本当良かったわ。誘也に一人で生活させるなんてやっぱり心配だったし、兄さまも居てくれるしね」
──んん!?!?
「ちょ、ちょっと待って母さん!?引き払うって…寮って…‼」
──ピンポーン
また信じがたい言葉を、さも俺が知っていたかのように話を続ける母に驚いた俺は、混乱しながらも詰め寄ろうと話し掛けた時、玄関の方でタイミング悪くチャイムが鳴る。
「……!あらやだ、もうこんな時間じゃない」
母は思い出したように時計を見てそう言い、俺を放って玄関まで駆けて行ってしまった。
もうわけわかんねぇし…
この母親相手に、酷い事言ったと思って本気で後悔した俺がバカだったよ…。
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