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「…っ…ぁ……。」
何これ。
何が起こってるの?
夢?
夢なの?
僕は静かにカラ松兄さんに近づく。
カラ松兄さんは目を開けない。
「…ぁ………ぇ、、?」
まるで元々声なんか無かったかのように声が出ない。恐怖で足がすくんでしまう。
「…か、ら…ま、、っ……にぃ…さ?」
目の前の後継は恐怖でしかなかった。
悪い夢。
悪い夢なら覚めてほしい。
こんなの嫌だよ、カラ松兄さん。
僕は動かないカラ松兄さんの頬をそっと触る。
「…っあ…。」
まだ暖かい。
そして、その暖かさが夢ではなく現実だと伝えてくるようで。
「…な…んで……か、ら…松…兄さ…ん?」
震える手でカラ松兄さんの左手首を抑える。
手じゃだめだ…こんなんじゃ止まんない。
僕は来ていた服を脱ぎ、カラ松兄さんの左手首に巻き付けた。止血できるように強く強く。
震える手で、揺れる視界で。
必死にカラ松兄さんの左手首に縛った。
「…ねぇ…カラ松…兄さん?ねぇ、聞こえる?」
だんだん声が出るようになってきたけどいつものようにはでない。
消え入るような声。自分でも、こんな声はじめて聞いた。
「カラ松兄さん……?」
体は正直だ。
涙は止まらないし、手も足も震えが止まらない。
立ってられなくてカラ松兄さんの前に膝を折る。
「ね、ぇ……目を…開けて?カラ松兄さん……いつも、みたいに…ドヤ顔で…笑って……痛いこと言って?……僕を笑わせて…よ…ねぇ、カラ松兄さん……カラ松兄さん……お願ぃ、、、カラ松兄さん……。」
僕はボロボロ涙を流しながらカラ松兄さんの右手からカッターを奪おうとした。
でも、気を失っているはずなのにカラ松兄さんはカッターを離そうとしない。
「か、ら…松…兄さん……カッター、離してよ……ねぇ!」
声が出ない。
息がうまくできない。
まるですぐそこの肺が意地悪をして酸素を体に回さないようにしてるみたいで。
「ねぇ……助けて……。」
「誰か………助けて…よ…。」
「か、ら、、、松…にぃ、さんを…助けて……よ。」
僕達以外誰もいない部屋で僕は、消え入りそうな声で言う。
呟くように。
願うように。
「トド松?何やってんだ?」
後ろから光が差し込んで、不意に長男の声が聞こえた。
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