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「トド松?」
僕の変化に気付いてくれるのはいつもカラ松兄さんだ。
「カラ松、とりあえず手当。」
おそ松兄さんの腕を払って僕のところに駆け寄る。
「トド松?トド松!聞こえるかトド松!」
僕は両手で胸を抑えて前屈みになり小刻みに震える。
怖い。怖い。怖い。
「トド松!?」
おそ松兄さんも焦って僕の近くに来る。
「寒いのかトド松?今日、池に落ちたからか?」
抱きしめて来ようとするカラ松兄さんの体を力なく、弱々しく押す。カラ松兄さんは倒れもしないけど、伸ばした片手が拒否を表していることくらい、馬鹿なカラ松兄さんでもわかるでしょ?
何言ってんのカラ松兄さん。
こんな時まで。
僕はカラ松兄さんの事が心配なんだ。
僕の心配より、自分の心配してよ。
なんで自傷行為するくらい溜め込んじゃうの?
僕が隣にいたの、気が付かなかったの?
「ヒュー…カハッ……か、ら…まっ……ヒューヒュー…にぃ…さ………。」
涙が溜まっていくのがわかる。
視界がぼやけてだんだんカラ松兄さんの顔もぼやけていく。
その光景が僕にはカラ松兄さんが遠くへ行ってしまうように見えた。
「…ここ、に…いて……どこ、にも、、、ぃか…ないで……ヒューヒュー、、、か、ら…ま、つ……兄さ…ん………。」
涙は頬を伝う。
ポタポタと床に落ちて染みを作る。
そして、静かに消えていく。
「トド松?おい!トド松どうしたんだ!?」
「トド松!!トド松!?」
抱きしめようとしたカラ松兄さんの手は拒否したのに、行かないでなんて馬鹿は僕だ。
矛盾してる。
なんで届かないんだろ…。
なんでカラ松兄さんには届かないの?
「…か……ら…松…ヒューヒュー…兄さ…ん……カハッ…ゲホゲホッ……。」
僕はいつの間にか意識を手放していた。
最後に聞こえたのはおそ松兄さんとカラ松兄さんの焦り声だけだった。
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