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暖かくて、優しい
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「どうした」
責めるようなものではなくて。
低くて、穏やかな声だった。
「あの……今日は、ありがとう」
ふり絞って出た言葉は、そんな当たり障りのない一言だった。
だけど、それは紛れもない率直な本心だった。
「おう」
タツを見た。
タツも俺をみていた。
伝わっただろうか。
きっと伝わっただろう。
タツは俺の頭とくしゃりと撫でた。
暖かくて、優しかった。
それだけで俺は十分だった。
タツが出て行って、ヨシが口を開く。
「あんな優しそうな顔するんだね」
驚いたようにつぶやくヨシに、俺は気づくことなく。
ただ、頭をなでられた感覚を追うように、自分の髪を触っていた。
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