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タツの彼女?
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電車は時間通りに動く。
そうこうしていると、もうすぐ俺の学校の最寄り駅につく。
ここで降りたら、タツと澄香ちゃんが二人きりになる。
そしたらよく見るカップルみたいにいちゃつくんだろうか。
タツの暖かいくて優しい手が、澄香ちゃんの綺麗な髪に絡まるのを想像したら、胸がぎゅう、と締め付けられて痛くなる。
「あの、連絡先きいてもいい?」
「え?」
澄香ちゃんが遠慮がちに、上目遣いで聞いてきた。
子供がするみたいな仕草で純粋にかわいいなと思った。
でもタツの彼女かもしれないのにそんな事していいのかわからなくて、タツに視線を移す。
タツは俺を見ていたようで、目が合ってしまった。
「えと、いいの?」
タツにだけ聞こえるように少し顔をタツの耳元に寄せて囁く。
そしたら、急に強く肩を押されて体を離された。
「は、勝手にしろよ」
顔をそらされて表情がよくみえないけれど、機嫌が悪いのは伝わった。
「交換しよ!」
「あ、うん」
タツはそれから無表情でドアの窓の外を見ている。
でもたぶん、あの顔は怒ってる。
澄香ちゃんに言われて連絡先を交換したけれど、俺はタツのことばかり気になっていた。
しばらくして電車が駅のホームにつく。
俺だけ降りると、澄香ちゃんは笑顔でじゃあね、と手を振ってくれる。
タツはなにも言わず、視線も合わせてくれなかった。
やっぱりタツは機嫌が悪い。それも最悪に。
そのまま電車のドアが閉まり、タツを連れて行ってしまった。
俺のせいでタツの機嫌を損ねてしまった。
やっぱり澄香ちゃんはタツの彼女なのかも。そうでなくても、俺と連絡先を交換して機嫌が悪くなったのなら、澄香ちゃんのことが好きなのかも。
そうなら、あまり自分からは澄香ちゃんに連絡はしないようにしよう。
彼女は確かに可愛いけれど、恋愛的な感情は湧かなかった。
それより、タツの機嫌を損ねてしまったことが、俺にとっては大事件だった。
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