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ヨシのデート相手は
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プリンはないけど甘いものが食べたくて、学校の鞄の内ポケットを探る。
昨日買ったグミがちょっとだけ残ってた。
ダイニングのイスに座ってグミを食べながらテレビのチャンネルを切り替える。
どこもニュースしかやってなくてつまらん。
ドタバタと階段からかけ降りる足音と直後に俺のジャケットを着たヨシが戻ってきた。
「なんでそんなに急いでんの?デート?」
「何で聞くんだよ」
「服貸してんだから聞く権利あるだろ?誰とどこでデートですか」
「デートじゃないって」
どことなく気まずそうにマッシュの後ろ髪をくしゃくしゃとかく。
「じゃあなに」
「……タツ兄と遊び行く」
「………何処に」
「んー、適当にブラブラ?映画見たり、服見たり謎の店探索したり色々気分で決めるから」
「ふーーーん」
楽しそう。特に謎の店探索あたりが楽しそう。
「俺はお呼びでない?」
「いや呼ぶわけないでしょ。だってタツ兄あれじゃん。ね、あれだから」
「どれなの」
「察して」
分かってる。
タツは俺のこと嫌ってる。
タツ、とはヨシの異父兄弟のことだ。
そもそも俺とヨシは異母兄弟だから、つまり俺とタツは父親の違う腹違いの兄弟ってことで、
「それ他人だから」
最後の方は口に出していたのか、それともエスパーなのか、ヨシがすかさずツッコミをいれる。
そう、俺とタツに血縁関係はない。
それでも俺はタツと兄弟のように仲良くなりたい。でもタツはそんな俺を鬱陶しがってる。
俺が父に引き取られるまでは、タツとヨシは一緒にこの家に住んでた。
というか実は、3週間ほどはタツとヨシと俺は一緒に住んでた。
けどタツの父親が脳卒中で倒れて、命に別状はなかったものの、また倒れた時に誰も居なかったら心配だ、とタツがそう言って父親と暮らすことを決め、この家を出ていったのだ。
当時タツは小学6年生だったけれど、その時からしっかりした子供だった。
俺はそんなタツを兄のように尊敬してたし、それは今も変わらない。
それにしても俺に内緒で二人で会う約束してたなんて。
なんか寂しくなる。
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