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馬鹿上等
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電車に乗ってから車両を二つ移動する。
ドアの前の端っこに持たれて立っているタツを直ぐに見つけた。
こういう時タツは背がでかいから見つけやすくて助かる。
乗客の合間を縫って移動する俺。すいません電車動いてる途中にウロウロして俺迷惑ですよね。
でも俺はタツのところに行くことが使命なんです。ご迷惑おかけします。はい、どいたどいた。
ちょこちょこと頭を下げながらタツの隣まで移動する。
タツはイヤホンで音楽を聞きながら目を伏せてて俺に気づくそぶりはない。
明るい車内の照明の光を反射して長い睫毛がキラキラ光ってる。彫りの深い目と高い鼻に影がさして、溜息出るくらいめちゃくちゃカッコいい。
ずっと眺めてるのもそれはそれで変態くさいので、つんつん、と肩を指でつついた。
「っ!…び、びったー。お前かよ」
ビクッと僅かに肩を揺らして、顔を上げる。
俺だとわかって深いため息とともに怪訝な顔でそう言った。
でもさ、もうタツがこっち向いてくれた時点で俺のテンション超絶急上昇だから。
それからタツはイヤホンを外してなに、と聞いてくる。
何だかんだで俺の話聞こうとしてくれるからやっぱタツはいい奴だ。だから大好きを辞められない。
いや、変な意味じゃなくて。
「おい、聞いてんだけど?」
ずい、と顔を近づけられて朝の出来事とデジャヴ感がやばい。
ああ、もうそれ止めて。マジ心臓に悪いから。
ふう、と深呼吸して落ち着ける。
イケメンって凶器だわ全く。
「電車乗る前にタツ見つけたから、ここまで探しにきた」
「それで?」
「見つけた!」
「……それで?」
見つけたからなんだよって呆れた顔をされる。
「俺超嬉しい。今テンションやばいよ」
嬉しさのままに頬を緩めると、タツは一瞬固まる。
「…マジ馬鹿だろ」
と言われて、ふいっと目を逸らされた。
うん、絶対言われると思った。
だけどめげない。馬鹿上等である。
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