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雪
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雪が降る、静かな日。
人が少ない電車に揺られながらとある街を目指す。
過ぎ去っていく針葉樹林は雪で真っ白だ。外に出たら寒いんだろうと思いながら窓を曇らせる水滴を見つめた。
そして案の定、電車から降りれば冷たい風と雪がコートのフードを揺らす。マフラーをしているもののフードが風にさらわれて後ろへいくたびに首が寒い。
重い荷物を転がしながら雪道を歩き出す。
駅も建物も緻密に施された模様が綺麗であるものの、雪で大半が隠れてしまっていてもったいない。
街の中心にある噴水の水は凍っていて、吹き出し口からは水が出ていなかった。噴水の上にある時計は氷が薄く膜を張っている上に雪が積もっている。
噴水の向こう側に見える建物は高くそびえた時計塔がシンボルの、この地方最大の学院。今目指している場所である。
祖父の遺品である懐中時計を胸ポケットから出して見ると、約束していた時刻間近だった。
冷たい雪が足の感覚を鈍らせていくし、なかなか前へ進まない。早くふわふわなベッドへ寝たいと思いながら無言で学院を目指した。
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