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☆ホワイトデー☆ 7 ~愁&咲~
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1人の男性が顔を出した。
「…もう、いなくなっちゃった?」
「芹岡(せりおか)先生!遅いっ。奈都、逃げたよ」
颯人が言った。
「足が速いな…、ふふっ」
嬉しそうに笑っている。
そんな中、茉莉はハッと気づいた。
「俺、思ったんだけどさ。何で颯人は、拓馬(たくま)のアドレス知ってるんだ!?」
茉莉は、自分よりも年下の拓馬のことを呼び捨てで呼ぶ。
「知ってるよ?ねぇ、愁」
颯人は愁に同意を求めるが、愁は苦笑いをした。
「んー、俺は…知らない、かな」
「あれ?そうだっけ?」
その言葉に、茉莉が颯人に詰め寄る。
「ちょっ!何で!!?」
のほほんと、拓馬が言う。
「ん?じゃあ、颯人。愁にアドレス教えといていいよ」
「そう?」
「いや!だから!!何で?!俺の颯人だぞ!」
茉莉が吠えているが、颯人はボソッと小声で言った。
「めんどくさいなぁ」
「めんどくさい話じゃなくてっ!」
茉莉と颯人が夫婦漫才をしている横をすり抜けて、拓馬が咲の方にやって来た。
「あ、咲姫。芹岡拓馬(せりおか たくま) です。アドレスは颯人に聞いてもらえれば…」
「先生、誰にでもアドレス教えたら、駄目ですよ?」
咲が困惑していると、愁が苦笑いをしながら拓馬に言う。
「んー?奈っちゃんの友達にしか、教えてないよ?」
拓馬は、なでなでと咲の頭を撫でる。
「っていうか、奈都を追わなくて良いの?」
茉莉に肩を掴まれている颯人が、拓馬に言う。
「大丈夫」
そう言った瞬間、どこかで聞こえてくる。
「奈都~!助けて」
「いた!奈都、これさぁ…どうにかならない?」
「うるさい!助けて欲しいのは、俺の方…」
騒動の元を探すために食堂の窓から覗いた拓馬と、奈都の目があった。
「~~~っ!!」
「奈っちゃん発見!」
嬉しそうに、そのまま勢いよく窓から飛び出る拓馬。
「あ…」
真っ赤な顔の奈都は、身体が固まってしまったらしい。
外から2階にいる奈都へと一直線に向かっていき、ロッククライミングのように窓をスイスイと登っていく。
それは、あっという間の出来事だった。
そして、奈都を抱きしめたのだった。
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