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☆ホワイトデー☆ 16~愁&咲~
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天は目くじらをたてながら、全速力で来る。
「廊下で抱きあうとは、いい度胸だな!」
「て、天ちゃん!違うの、僕が抱きついたの!」
愁の手が止まることはなく、咲の頭を撫でている。
「いいから離れろ~!」
そう言うと、愁と咲の間に割って入る。
「咲!あのな…」
天が何かを言う前に、咲が話す。
「天ちゃんには本当にお世話になってるから、お礼のクッキーなんだけど」
可愛いラッピングを急に目の前に出されて、天はびっくりした顔をしている。
話したかったことを、忘れてしまったらしい。
「ん、ありがとう」
咲に笑顔で渡されて、天は嬉しそうに笑った。
その一部始終を愁は、にこにこと微笑みながら見ている。
それに気づいた天は、舌打ちをついた。
「天ちゃん!」
咲に嗜められるが、気持ちの問題なのだ。
大切な咲を取られたのと、一方で祝福している両極端なちぐはぐな感情に1年が経とうとしていても、頭の整理がまだ出来ていない。
「咲、会長が変なことをしようとしたら、玉蹴りをして逃げるんだぞ!!」
「な、何を言ってるの?!」
直接的な表現に、咲は顔を真っ赤にして怒る。
「へ、変なことって…僕は、それ、そん…な、して…欲し…」
咲はゴニョゴニョと小さな声で、しどろもどろになりながら言うが天には最初しか聞こえていない。
「咲、何?」
さっきの言葉が聞こえていたら、お説教が長くなってしまう。
「えっと…」
そんな咲に愁が言った。
「咲、クッキー配りに行こう」
「は、はい!!」
咲は天に向き直った。
「いつも近くで僕のこと心配してくれてありがとう。天ちゃん、大好きだよ!」
「咲…」
天が感極まっているのを見て、咲も涙ぐんでしまった。
そして2人は天と別れて、お世話になった人達にクッキーを配りに行った。
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