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再会と説明と 4
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ドアから顔を覗かせたのは副生徒会長の如月 颯人(きさらぎ はやと)だった。
「愁、悪い。食堂の決算をすぐ出せって!」
「まだ、時間があるはずだけど?」
愁は顔をドアに向けた。
「それが他の話がまとまらなくて、こっちが早く回ってきた」
颯人が申し訳なさそうに言う。
愁が軽く頷き、咲に顔を向けた。
「…ごめん、もう少し話をしたかったんだけど…」
愁は残念な顔をして咲に謝った。
「いいえ!そっちを先にして下さい」
咲は慌てて首をふった。
「もし、良かったら明日も来てくれる?」
「はい、来ます」
すぐに答えた。
その言葉に愁はほっとした顔をした。
「颯人、悪いけど寮に案内してあげて欲しい」
「わかった」
颯人は頷いた。
「ありがとう」
愁は机に向かっていく。
「…あ、それと君の事、名前で呼んでもいいかな?」
「はい、好きに呼んで下さい」
愁は少し悩んでから言葉にした。
「咲、じゃまた明日のこの時間に…」
『咲』と言われて照れたが、嬉しくて胸が温かくなる。
「はい」
机からいくつかの書類を手にして、愁はあわただしく部屋から出ていった。
「話の途中ですまない」
颯人が深々とお辞儀をしてきた。
「いいえ!!お忙しいのに、かえってこっちの方がすみません!」
颯人が悪い訳ではないし、なんだかいたたまれない気持ちになった。
「…」
颯人がじっと咲を見る。
「???」
(何か顔に付いているのかな)
手で顔を触って見たがよくわからない。
「身内贔屓だけど…、愁はいい奴だから」
副会長から見て会長の愁を評価しているのだろうか…。
「はい、話をしてみてわかります、えっと…会長さんとは付き合いが長いのですか?」
「…中学からの親友」
颯人は顔の表情はあまり変えずに淡々と話している。
「寮まで送る」
『こっち』と颯人が生徒会室から出たので咲は後を追って行った。
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