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寮の同室者 2
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その先生に見覚えがあった。
天を入学式の前に連れていった、先生だった。
「颯人、声を張り上げないお前が珍しい。多くの生徒が部屋に帰って行ったけど?」
「茉莉、遅い」
むすっとしながら、颯人は要先生を呼び捨てに呼んだ。
「俺も今、来た所だから全然わからない」
颯人は天と、背の高い男子を交互に見た。
「えっと…部屋割りの事で」
背の高い男子が口を開いた。
「えっと、あの、自分は皇 大弛(すめらぎ だいち)と言います」
そう言って深々と頭を下げた。
「自分が雨宮咲さんと同室になって、それで…」
「僕の同室の人?」
「あ、あなたが!初めまして!」
大弛はサッと右手を出したが、天がその手を勢い良く払った。
パンッと、乾いた音が大きく響く。
「ちょっと、天ちゃん!!」
「馴れ馴れしい」
ふんっと、天はそっぽを向いた。
「そうですよね~」
手を払われたけど、大弛は気にしてないようだった。
「天ちゃん、謝って」
「何で俺が」
「いーですよ、俺が悪いし。それよりも天さんっていうんですね!」
キラキラッと目を輝かせて大弛が、天を見ている。
「それで?」
茉莉が改めて聞いてきた。
「咲と同室なのが許せない」
天はブスッとした顔で言った。
「それは、それは」
納得してる茉莉を颯人が腕で、どついた。
「この学校の教師が納得するなよ。高城、これは決まってる事だ。新入生代表でも、嫌なら退学もあるぞ」
「…っ、しかし納得出来ません」
咲は天をなだめた。
「天ちゃん、大丈夫だよ」
「咲」
「皇君はいい人だよ、天ちゃんに対して怒ってないし。天ちゃんと高校に一緒に行く事が大事だよ、ね?」
天は、咲のお願いには弱い。
大弛はニコニコと天を見ていた。
「~っ!!お前、咲に何かしてみろ!ただじゃすまないからな!!」
「はい!!」
大きな声に大弛に『わかってんのか!!!!』と言われても、なんとなく喜んで(?)いるように見える。
「はぁ…で、もういい?」
颯人がため息をついた。
「すみません!天ちゃんが過保護なもので。僕、昔色々と危ない目にあってきたので、天ちゃんが助けてくれて、それで過剰なんです」
咲は慌てて、颯人に頭を下げた。
「いや、いい。ケンカして殴りあって流血しなきゃ」
颯人はため息をついた。
茉莉が口を開く。
「じゃあ、先生から一言言わせてもらうと問題があったとき、颯人が言ったように退学はあるから。聞き耳を立てている生徒諸君は、間違っても姫候補に手は出さない事!生徒会で問題児を潰しにかかるからね」
茉莉が後ろを向き、ニコッと笑う。
聞き耳を立てていたのか、バタッバタッと次々と扉が閉まる音が聞こえた。
「…先生らしい事を、珍しく言ったね」
颯人が茉莉を見て言った。
「たまには良いこと言わないとね。さて、それじゃこれでお開き、でいいね?」
そう言うと、茉莉は颯人の両肩の方向をまわして、身体の向きを変え前に進ませた。
「颯人に用事があるから、そろそろ借りるね」
そう言って、茉莉と颯人はエレベーターの方に歩いていった。
その姿を見送ってから、咲は大弛に向きなおった。
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