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食堂にて 2
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天は咲の顔を覗いた。
「咲、どうした?」
「な、なんでもない」
「顔が赤いぞ?」
天が咲のおでこに手を当てた。
「大丈夫だよ、心配しないで」
「なら、いいけど。で、咲は何を食べる?」
メニューの看板を指差した。
「えっと…」
A定食、B定食、C定食があり、A定食は魚がメイン、B定食は肉がメイン、C定食はその日の気まぐれらしく、今日は野菜たっぷりのチラシ寿司だった。
「C定食かな。天ちゃんは?」
「俺もC、"新入生オススメ"って書いてあるし」
「俺はB定食で!!」
大弛が言うと、天が睨みながら言う。
「お前、これから肉ばかり食うなよ!食のバランス偏ってるぞ」
「よくわかりましたね。天さん、優しいです!俺もチラシにします!」
「感動するな!!こっちは怒ってんだぞ!!」
あまりにも正反対の2人に、咲は天を宥めた。
「天ちゃん、後ろ詰まるから、ね?」
3人で食券を出すと、松子が寄ってきた。
「はいはいっ、チラシ3つね!嫌いな物あるかしら?」
そう言うと、一枚の紙を手渡した。
「ここに、今日の材料書いてあるから、嫌いな物やアレルギー出るのは教えてね」
「特に無いです」
「大丈夫です」
「俺も」
「じゃあ待ってて!!竹子、梅子仕事だよっ!」
そう言うと、厨房に戻って行く。
「あら~可愛い♪こっちは食べっぷり良さそうだね」
2人の顔を交互に見てから大弛を見て、竹子が言う。
「名前は?」
「皇大弛です!」
「高城天です」
「雨宮咲です…」
3人で自己紹介をしたら、周りが騒がしくなる。
「雨宮…って」
「姫候補の!?」
「マジ?顔を見たい!!」
周りの生徒のその声に梅子が反応する。
「姫候補なの?!通りで可愛いはずだねぇ」
「ちょっと!!愁君も、すみにおけないわねっ!」
竹子は力強く、愁の背中を叩いた。
愁はよろめく。
「…梅子さんも竹子さんも落ち着いて下さい。まだ決まってないですから」
「なーに言ってんのよ。押して押して押しまくるのよ!!」
「咲ちゃん、愁君はいい男だよ」
「本当、優しいから。今どきこんな子いないよ!」
「お買い得!!有力株だね!」
「…恥ずかしいから、その辺にして下さい。松子さんが呼んでますよ」
「なーに照れてんだろうね!」
大笑いしながら、バタバタと厨房に入っていった。
愁が咲に小さく『ごめん』と、手を合わせていたのが見えた。
咲は首を振る。
ただそれだけの事なのに、咲は嬉しい気持ちになった。
松子、竹子、梅子の3人は素早く各定食を作り目の前に出した。
それを受け取り、席に着いた3人はさっそく定食を食べた。
「…美味しいっ」
「凄いな!」
「っ!」
しかし周りの目が気になる。
姫候補として、有名人になってしまった。
天が箸を置き、抗議しようとした時に食堂の入口から颯人が来る。
「愁」
「颯人、茉莉先生とは、もういいのか?」
そう愁が答えた瞬間、颯人は頬を染めた。
「…いい、これ以上は終わらせてくれなくなるからっ」
小声でボソボソと話していたが、周りの空気が気になった。
「…?やけに騒がしい」
「あ…うん…」
愁は複雑な顔をした。
「ん?学力テストのことか?」
「え?」
愁は首を傾けた。
「ち、ちょっと副会長!何の話、してるんですか?!」
慌てる生徒達。
「一週間後に、学力テストするって言ってたけど?」
一人冷静に淡々と話しているが、周りはガヤガヤと騒がしくなった。
「マジでかよ~」
「いや、どうする?」
「べ、勉強!!」
姫候補の話しは打ち切りになったらしく、学力テストのことで話題になっていた。
「颯人、助かった…」
「うん?」
愁は生徒の気が逸れた事にほっとして、颯人に感謝をした。
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