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2日目 5
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「まぁ、とにかく」
茉莉は右手で颯人の頭を撫でながら言う。
颯人は睨みながら茉莉を見た。
けど、颯人は手を退けることはしなかった。
「愁のサポーターとして、お手伝いをお願いしたいかな」
「愁先輩の?」
生徒会の雑用、ではなく愁個人だと言われた。
「茉莉先生…」
愁は茉莉に何か言おうとするが、茉莉の声に遮られる。
「愁は集中力は並みハンパないから、時間そっちのけで書類を片付けるんだよ。だから監視役として少しの時間でもいいから、見ててあげて欲しいな」
颯人も賛成する。
「確かに。俺がいれば止めて休憩させるんだけど、今は部活の届け出の確認で手が回らないから」
実際2人で生徒会が始まってしまったから、大変らしい。
愁は申し訳なさそうに言う。
「役員はこれから考えて推薦するから…」
「わかりました!僕、頑張ります!!」
愁が倒れたら大変だ。
しかし、愁はどこか遠慮しているみたいだった。
「俺個人って、時間だって余るだろうし…」
「じゃあテスト勉強、見てやればいいだろ?」
茉莉が提案してきた。
「雨宮は愁が無理をしないように見張る。愁は雨宮に勉強を教える。それでギブアンドテイクだろ」
「はぁ…」
愁は反論を諦めた。
入学当時からの知る仲の茉莉は、生徒の為に時間を割いてもいいと思う教師だから、咲の提案の為にあれこれ考えているのだろう。
咲は茉莉の申し出は嬉しかった。
「あの…実は理数系はニガテでして」
「じゃあ、ちょうどいいな。愁は成績トップだからな」
茉莉はニヤニヤしながら言った。
「わかりました…咲、俺の監視役お願いできる?勉強は見れるから、遠慮しないで」
「はいっ!よろしくお願いします、愁先輩」
しかし、さっきから颯人の視線が痛い。
「…?」
「颯人、雨宮を見過ぎ!見つめるのは俺だけにしなさい」
「…あ、悪い」
颯人は茉莉を小突きながら、咲に言った。
「…俺も名前で呼ばれたい」
「え?」
言われた咲よりも、茉莉の方がびっくりしている。
「いいのですか?」
「うん、俺も咲って言うから」
咲は遠慮がちに呼ぶ。
「えっと…颯人先輩」
「ん」
颯人に頭を撫でられた。
「出た!颯人の小動物好き。俺も撫でてよ」
茉莉が頭を颯人に差し出す。
が、颯人は茉莉の頭を軽く叩く。
「うるさい…」
「えーっ!じゃ俺も呼ぼうかな。よろしく、咲」
今度は茉莉も呼んでくれた。
「…茉莉ちゃん先生でいいですか?」
「お、いいね」
茉莉も喜んでいた。
「仲間入り出来た気がします」
うんうん、と茉莉が頷く。
こうして咲は、明日から生徒会の雑用をすることになった。
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