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天と言い争い 2
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天の意見を聞いたら、愁との関わりが無くなってしまう。
「…なぜ?」
あからさまに、天は不機嫌だった。
「咲が、このくだらない制度の姫になることないっ!」
天の声が大きくなる。
周りの生徒が振り返る。
「それは…まだ決めてないよ」
姫になる事は、まだ考えていない。
「最終的には、かわいそうだとか人助けだとか言ってなるんだろ?」
「う…」
さすが天だ。
咲の性格はお見通しだ。
たしかに昨日までは、少しそう思っていた。
困っている人は、放っておけない。
(でも…)
今日で変わってしまった。
(愁先輩が、好き)
好きな人の側にいたい。
自分じゃない、他の人が愁の姫になると考えただけで胸が苦しい。
天の言っている事もわかる。
いつも天に頼っていて、助けてもらっている。
多分、これからも迷惑をかけると思う。
「姫になるとしても、そういう事ではならないと思う」
「いいや、なるね。くだらない事で真剣にならなくていい、忘れろ!」
面倒事になるのなら、自分から飛び込まなくてもいいと解釈すれば、天の言葉に間違いはない。
でも、愁への気持ちを否定された様に聞こえてしまった。
(違う!この気持ちは、くだらない事じゃないの!)
「天ちゃんは、わかってないっ!」
咲は大きな声を出した。
もちろん、まだ愁本人にも好きだと伝えていないから、愁が好きな事は言えない。
天にしてみたら、『ただの勘違い』だと言われるのが、わかるから。
「は?俺のなにがわかってないんだよ!咲の事を一番わかっているのに?!」
「わかってないよ…」
(僕の気持ちを、無かったことにしないでっ!!)
天には、味方になって欲しかった。
(大事にされているのは、わかる…けど)
悲しくなった。
(今はこんなにも、もどかしい)
家族同然な関係の天のことを、一番じゃなくなること。
自立する事が出来ないのかと諦めること。
そして何よりも…
(愁先輩が好きだからと、天ちゃんにまだ言えないこと…)
その全てが出来なくて、悲しかった。
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