アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4日目 3
-
天は、はっと口をつぐんだ。
(…っ!俺、これで退学にならないよな?!)
相手は生徒会長だ。
偏屈な人なら、はむかった後輩なんて難癖つけて退学になるだろう。
しかし、愁は違った。
「うん、やっぱり咲の事を大切に考えてくれているのだね」
愁は真剣な顔で天を見た。
天が口を開こうとしたその時、後ろからバタバタと足音が聞こえてきた。
「愁!」
颯人にしては珍しく、息を切らしながら走ってきた。
「こっちにいるのかと思ったけど…いないなんて」
「颯人、どうした?」
颯人は呼吸を整えてから言った。
「約束の時間になっても、咲が生徒会室に来ない」
「…なんだって?」
時計を見ると、約束の時間から30分経っていた。
「咲は、まだ教室にいる?」
愁は天に聞いたが、首をふった。
「…俺が教室を出る方が早かったので、わからないです」
チャイムが鳴ってすぐに勧誘の人達が押し寄せてくるから、天は咲が教室を出たのを見ていなかった。
「…生徒会室に行くことは、楽しみにしていたので」
悔しいが、咲は天といるときよりもイキイキとして生徒会の事を話していた。
「…変だな。時間に遅れる様な感じじゃないみたいだし、昨日も来るって言ってくれてた」
教室から生徒会までの道のりは、せいぜい10分もかからない。
授業が終わって40分が経っていた。
「すごく嫌な感じする。茉莉にも探してもらうようにお願いしてみる」
颯人が職員室に行こうとした瞬間。
「あっ!!!」
天が大声で叫んだ。
「どうかした?」
愁は天に聞いた。
「昨日の食堂で、2人組に絡まれたのを思い出して…」
「「!!!」」
愁も颯人も驚いた。
昨日そんな事があったのは2人共、知らなかった。
「…探さないと!教室から生徒会室までで、身を隠せられる場所とかっ」
天はそう言い、今にも走り出しそうだった。
「高城、やみくもに探したって!」
颯人は天の肩に手を置いて止める。
「そんな事を言っても、咲は昔から変質者に狙われやすいんですよ!何かあったら…!!」
「…ちょっと待って」
愁はキョロキョロと辺りを見回した。
天は不審な顔をしていた。
(こういう時に、咲の光が見えたら!)
咲の光は、とても暖かくて少しピンク掛かっていて。
入学式の前の初めて会ったときも、その光に誘われて愁は迷わずに咲に会いに行った。
ふっと、わずかな光が2階の方から感じた。
「…2階!」
愁はそれだけ言って、階段の方を走った。
「愁?!」
後ろで颯人が叫んでいたが、振り向くことはせずにそのまま全速力で走った。
天は初め、訳が解らず目を見開いて愁の後ろ姿を見ていた。
しかし、階段を登っていく愁の姿が見えなくなってから、我に返り後を追った。
のんびりしてて頼りない奴だと思っていた愁が、咲の事でこんなにも必死になった姿を見てしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 111