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5日目 1
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咲を外に出さないと決めた天は、本当に徹底していた。
朝早く、咲の部屋に行く。
手には2人分の朝食を持っていて、一緒に部屋でご飯を食べた。
「天さん、言ってくれたら3人分の朝食持って来ましたよ?」
大弛は自分の朝食が無いことに、寂しがって言う。
「なんで、お前と食べなきゃいけないんだよ!」
天は大弛に対しては、冷たかった。
そして、咲には絶対に部屋を出さないようにと一言、言った。
「咲。部屋を出たら、絶交だからな!!」
『絶交』なんて子供くさい事だが、咲には効いた。
「…天ちゃんっ!なんでっ」
咲は天が部屋に入った時から涙目で、目元が赤い。
昨日から、ずっと泣いているみたいだった。
そして今の天の言葉に咲は、また泣いてしまった。
「本気で、絶交だ」
咲の性格では、絶対に天を裏切らないのをわかっていて言った。
(…泣かしてるのは俺、だな。部屋に閉じ込めるなんて酷い仕打ちだよな)
でも、これで咲は部屋から出ない。
部活の勧誘に追い回されている今の自分だと、咲を守れない。
「今日は俺も授業には出ない。ここで咲を見る」
「天ちゃん、お願い!!愁の容態が知りたいから、病院に…」
だが、天は首を横にふった。
「駄目だ」
「何で…?」
咲が泣いている。
泣かしたい訳じゃないのに。
「昨日の奴らもそうだが、違う奴らだって咲を狙っているかも知れないんだぞ?!赤ずきんをノコノコ狼に喰わせる訳無いだろ」
「天さん、表現が上手いですね」
「お前、うるさい!」
大弛の言葉に、天が怒る。
咲はただ、泣くしかなかった。
(…天ちゃんと絶交は嫌だ。でも、愁を諦めるのも嫌だ!これって欲張りなの?)
「うっ、うっ…」
考えても考えても、わからない。
(愁の側にいることは、出来ないの?)
愁に会いたい。
今は、ただそれだけだった。
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