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5日目 5
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天は学校の門で、愁を待っていた。
1台の車が学校に向かってきて、天の立っていた所に止まる。
運転席に茉莉が乗っていて、後部座席に愁がいた。
車のドアが開く。
「高城君」
愁が車から降りて言った。
予想外の人物の天が立っていたことに、愁は驚いているようだった。
「…生徒会長、話しがあります」
天は愁に言った。
茉莉が背広のポケットから鍵の束を出し、1つ鍵を取り出した。
「愁、談話室の鍵。後で颯人にでも渡しといて」
愁は鍵をもらった。
「とにかく、中で話そう」
天は頷き、談話室へと向かった。
立って話をすることもないので、向かい合って席についた。
「咲は?」
天から話そうと思っていたが、愁の方が先に口を開いた。
「…泣いてます」
愁は心配そうな顔になる。
「話し終わったら、会いに行きたい」
「…咲を、どうしたいんですか?」
天は愁に聞いた。
「咲をこれ以上、傷つけないで下さい。忘れろって言った、貴方のせいで泣いているんですよ?!」
「病院で…真剣に考えたよ。臆病になっている自分を恥じた」
「…会長は、自分勝手だ」
「うん。押し殺しても何も手に入らないから、我が儘に生きようと思って」
昨日までの印象が、嘘のようだった。
「…だから、咲を諦めたくない」
愁の目は、力強いものだった。
天は全身の力が抜けた感覚になった。
認めてやるしかない。
(…あぁ、俺は子離れ出来ない親と同じだったんだ)
心配で心配で、咲を安全な篭の中に大事に入れていた。
咲の気持ちも見ないふりして、過ごそうと思っていた。
(全く駄目だな、俺は…。幼馴染みで親友の枠を、いつの間にか越えていた)
苦笑するしかない。
(篭の外が危険でも、咲を大切にしてくれる人が現れた事を、喜ばないといけないのに)
咲を、愁に任せる。
幸せになって欲しい。
「咲をまた泣かせたら、全力で潰しに行きますから!!」
「うん、ありがとう」
(この、お人好しが咲にはお似合いだな)
「それで俺も、高城君に言うことがあって」
「なんですか?」
それは、思いもよらないことだった…。
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