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6日目 1
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朝早く、朝食を持った天が部屋に来た。
「咲、少しでもご飯を食べろよ」
「…う、ん」
返事はしたが、食べる気がしない。
(血が…いっぱい流れて、いた…)
颯人に話は聞いたが、やはり愁が心配で食欲もなければ寝てない。
愁が心配で寝れなくて、寝れないから余計に色々な事を考えてしまっていた。
天は咲に、愁に会って話をしたことを言わなかった。
「…」
言おうとも思ったが、当事者同士の問題だからというのもあったし、何より今日も病院に愁を行かせる口実も欲しかった。
(ごめん、咲。けど、会長もお前と一緒で自分を後回しにするから…)
ついでに、罵声を浴びせた事は黙っておこうと思った。
「咲、食べないなら授業も当分、見送りにするぞ」
「…っ」
咲は、ようやく箸に手を伸ばした。
ゆっくりとだが、朝食を少しだけ口に運んでいた。
それを見てホッとしながら、天は大弛と話した。
「問題は授業中、だな」
そんな話を大弛としていたが、咲には全く耳に入って来なかった。
そんな中、咲は愁の怪我の事を考えていた。
箸の動きが止まる。
咲は不安で、頭がぐるぐると回る感覚に襲われていた。
その時、トントンとドアを叩く音が聞こえた。
天は大弛に出ろと、顎で指示を出す。
大弛が出ると、そこには颯人がいた。
「副会長…」
颯人は部屋に入り、咲と天を見た。
「高城、茉莉から伝言。『お前は授業に出ろ、颯人に咲を見てもらえ』だと」
颯人は相変わらず、淡々と話した。
「生徒会役員は、今のところ特別に時間があるから咲のことは見れる」
そう聞いて、天はハッとなる。
(あぁ、だから会長は俺に、書記を推薦してきたんだ)
愁はやはり、他人の事ばかり考えている人だった。
(始めから、勝てない…)
天はため息をついた。
そんな天の横で、咲はボーッとしながら思い出していた。
(前に、特例で書類を片付けているって言っていた… )
「…で?あの先輩達は、どうなったんです?」
「ん?あぁ、処罰対象は自ら希望退学したよ」
『処罰対象』とは、昨日の先輩達の事だ。
咲はボーッと、颯人と天の話を聞いていた。
「アイツらから?!どうやって」
「さぁ?茉莉と話をしてたら、"急に"辞めると言い出したらしいけど」
「裏で手を回したのですか」
苦笑しながら、『怖いな』と天は言った。
「まぁ、これで危険が無くなったけど一応、念のため咲は責任持って生徒会が見るから」
相変わらず、天の顔は怖い。
「…じゃあ如月先輩、咲の事をお願いします」
天は颯人に頭を下げた。
(…天ちゃん)
こうして、天と大弛は授業に出ていった。
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