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【番外編】Out of the blue
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「柚、今なんて……」
「だから実家に挨拶に」
「違う、その前っ」
「結婚するよ」
「馬鹿じゃないのか、お前結婚するって……」
目の前で同じ顔の二人がにらみ合っています。朝から勝手に部屋に乱入してきた臣人さんは、相変わらずの距離感です。
「将生も嫌だよね、こんなやつ」
そのこんなやつ……と言うのは同じ顔の目の前の人でしょうかオミさん。
「あの……嫌とか嫌じゃないとか言う前に無理ですよね?」
「もう養子縁組の書類はそろってるし、弁護士も呼んである。兄貴には関係ないだろう」
「駄目だって、将生、冷静に考えろ!初めて付き合ったのがこいつなんだろ?」
そう言われればそうですね。こくんと頷くと、オミさんが満足そうに頷きました。
「他も試してから、結婚は決めるべきだよ」
「他って、まさかオミさんでしょうか?」
「兄貴、馬鹿じゃないのか。俺たち一卵性だから細かいパーツまで一緒だろ、試したところで同じだよ」
「経験値が違えば、違うだろ。将生だって楽しむべきだよ」
「えっと……」
「オミ、ふざけるな将生は俺のものだ!」
「ものって……将生は物じゃないよね?」
「お前には、代わりのやつやったろ、ほら偶然にも名前まで一緒だ」
「ああ、征木翔太君ね。あの子はあの子で可愛いんだけど、ちょっと軽すぎるよね」
「将生は絶対に譲らない」
「譲る?何言ってんの、選ぶのはお前じゃない」
完全に僕の存在も忘れたかのように二人で話をしていますね。いつもの事です、もう慣れました。
「オミ、お前帰れ。ここは俺の家だ」
「将生、明日俺とデートしようね、結婚するまえにきちんと判断しないと後から後悔するよ」
「……確かに」
ぼそっと呟いた僕の言葉に、香月さんが過剰反応しています。まずいです、かなりのお怒りモードのようです。この状況がいかにまずいのか今までの事で学習していないほど馬鹿ではありません。
「あの……怒っています?」
「オミ、出てけ。これから俺は将生と話がある」
「おや?別れ話?将生、ここ追い出されたらいつでも俺のところにおいでね」
オミさん今、出ていかれると僕は大変な事になりそうです。そもそも結婚相手として出されるカードがスペードのエースと、クローバーのエースです。ハートのエースは入っていないのでしょうか。できれば、もう少し選択肢があればいいのですが。
……それとも二つもあるって贅沢なことなのでしょうか?
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他のサイトに移していたら、ふと書きたくなってしまいました。
また七話だけお付き合いください。
わらび
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