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Act.15 軍服
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玄関のすぐ外に立っていたのは何故か……軍人さんでしょうか。
えっと、軍服を着たいかつい顔の男性がいます。
「あのぉ……どういうご用件か聞きたくもないのですが……一応、お伺いいたします」
「もちろんです、お相手を探していらっしゃるとのこと」
思っていた通りの低い声で、淡々としゃべりだしました。これ最後まで聞いても面倒なだけですね。慌ててその人の言葉を遮りました。
「だとしたら、もう充分に事態は込み合っていますので、ご遠慮くださいませんか」
怖いから、おずおずと小さい声で、でもきっぱりと言いました。
……いかつい顔の軍人さんは、一瞬止まると...…。
「えーー、んもう、何よ。もう今日は締切なのお?」
ん????
あれ、この人……。
何故か、急に動きが…...変です。姿かたちとは似つかわしくない、声のトーンになりました。
「やだ、私、遅かったのかしら。じゃあ、順番待ってるから、とっとと済ましてちょうだい」
とっとと済ますのですか?何を?
「あの、帰ってくださいとお願いしているんですが」
玄関で押し問答をしているのが待ちきれなくなったのか、奥から二人が出てきました。
「何してるんですか?僕、学校に行くので最初にお願いしますね」
「え、今度はコスプレイヤーさん来たの?」
件の高校生もビジネスマンも余計な口をはさんでくきます。
「え?もう先に二人も来てるの?どのくらいかかるかしら?」
時間の問題でもなくて、根本的な問題が違っています。
「あの、みなさん勝手に話進めるのやめてください。僕はそもそも出会い系の掲示板なんかに書き込みしていませんから」
これ言っても無駄ですよね、多分無駄です。だって、僕の周りに集まる人って、いつも僕の都合は最後に考える人ばっかりですから。
「え?でも、もうここまで来ちゃったんですから、僕としてはどうしてもお相手をお願いしたいですね」
やっぱり、そうですよね。誰も聞いてくれないよね僕の都合は。と言うより、高校生駄目でしょう。こんなことしてちゃ。学校へ行かなきゃだよと、心の中でツッコみました。
ビジネスマンがまるで素晴らしいアイデアを思いついたかのように目を輝かせました。
「そうだ、アミダくじで順番を決めましょう!」
いえいえ、ですから、順番の問題じゃありません。帰ってくださいと言っています。全く誰なんでしょう、掲示板に俺の個人情報載せたのは。思い当たるのは、香月さんと...…まさか…翔太さん?!
他に僕の内緒のバイトとこの住所両方にリーチ出来る人はいませんから。
玄関に勝手にアミダくじを始めた三人を残して、部屋に戻りました。携帯を探して、連絡しようとしましたが、僕は翔太さんの連絡先なんて知りません。
ええ、知りませんよ。必要ないと思っていましたし、実際必要なかったですし。
香月さんに聞くべきですか?でもそれって更に事態を悪くしそうです。そうだ!監督!
「もしもし?将生です……ええ、そうです斎藤です。至急教えていただきたいことが……」
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