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Act.15 白衣
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監督から聞き出した翔太さんの番号にかけました。コール音が二回なったと思ったらすぐに応答がありした。
「はい?誰?」
「あの将生です、齋藤将生です」
「ああ、なかなか連絡来ないから反響なかったのかと心配してたんだよね……ネットの反応良かったからさ」
やっぱりこの人なのですね、まあ、薄々そうじゃないかと思っていましたが。あれ?翔太さんの声に重なって聞こえるこの声って……え…まさか、まさか?
急いで玄関に戻ると、三人置いて部屋に戻ったはずが、ちゃんと四人に増えてました。
「翔太さん……一体何してるんですか?それ、明らかにお医者さんですよね?その白衣……」
「そ!よくよく考えたらさ、俺まだ将生とヤってないなあって思ってさ」
よく考えるのはそこではなくて、自分の行動ですよね。
「何もしませんから!なんで、そもそもコスプレなんですか?全て間違っていますから」
「いろんなシチュエーションで楽しめると思ったんだけどなあ。まあ、とりあえず言い出したのは俺だから。最初は俺で良いでしょ?」
あの……誰でもオッケーみたいな性格ではありませんし、言わせてもらえばこれって犯罪ですよね?
言い出したのは俺だからって、まるで自分が正義のように聞こえますが……何で得意そうな顔なんですか?
「何考えてるんですか?無理なものは無理です、前にも断りましたよね」
「ん?いつ?俺、断られたっけ?」
ああ、この人は、どこまでもズレています。そうでした、こういう人でした。間違いありません。
この人の間抜けな行動が全ての始まりで、今の自分だと思うと何故か気が遠くなりそうになります。
「あの……どうでしょう?あの方達みんなまとめて、翔太さんにお任せするって言うのは……無し?ですかね?」
無茶ぶりですが、翔太さんならオッケーしそうな気がしています。
「うーん?あの高校生はちょっと趣味じゃないなあ、けどあとの二人はおいしそうだよねぇ」
え?大丈夫なんですか?言ってみるものです。
「じゃ、そういう事でお願いします!」
そこにあったカバンと携帯を掴んで、ちょっと悩んでいる翔太さんの横を通り抜けようとしました。
このチャンスを逃したら、大変な事になるのは火を見るよりも明らかです。
「え?どこ行くの?将生??」
腕をガシッと掴まれました。笑顔が怖いです。
笑顔って優しい気持ちになるものです。恐怖を植え付けるのは笑顔ではありませんからね。
翔太さんは僕の腕を掴んだまま玄関の三人に声をかけた。
「そろそろ上がりませんか?」
ええええ、何で勝手に声かけるんでしょうか。ここは僕のアパートです。そもそも男五人も顔突き合わせて並ぶスペースありませんからね。
「そうですね」と、高校生。
「ああ、そうだね」と、ビジネスマン。
「そうよねぇ。」と…不気味な軍人さんもどき。
「僕は一切関係ありません!」叫ぶ俺の声は相変わらず誰にも届きません。
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