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Act.17 おはようございます
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「おはようございます」
何故か午後からの撮影でもなぜか「おはようございます」が現場での最初の決まった挨拶です。
もう引退したはずだと思っていまいたが、引退は華々しくねと丸め込まれて、説得されて何故かまた次の作品に出ることになってしまっています。
多分、もう十分だと言ったと……思うのですが。言わなかったのでしょうか?いえ、言ったはずです……多分。
いつも流されて変なところに流れ着きますが、そろそろ自分の生き方も考えなきゃいけないのではと思っていますし、人生そんなに甘くはないですよね。
それに、このバイトは将来にマイナスにしかならないと気が付きました。今更ですが、ええ、今更です。名前は出してはいないけれど、大丈夫なのでしょうか。
香月さんは全く問題なしだと言いますが、就職するときにバレたらどうするのでしょう。
それにしても今回は、なんだかいつもと撮影場所が違いすぎます。というよりここは……。
「あの……香月さん?こんなところで撮影って……大丈夫なんですか?」
何故か連れてこられたところは、教会です。ここで何するのですか、いえ、ナニするのでしょうけれど、でも。
「ああ、ここ?大丈夫だよ、映画の撮影用に作られた教会だからね。監督が知り合いの監督さんに頼んで貸してもらったって」
道理で、畑のど真ん中にポツンと建っているはずですね。それより監督は、まともに映画関係に知り合いいるのですか、その方が驚きです。
「あ、監督おはようございます」
「おはよう!斎藤ちゃん、おひさ」
監督、変わりませんね。その口調。それも今日で終わります。よかったです。あれ?ん?僕は……被害者ですよね。違うのかな?もうよくわからないままここに立っています。
「やめちゃうのもったいないよねえ、ファンも結構ついてるのに。売れ行きいいんだよ」
そうでした、最初に顔はモザイクかけるとか、言っていたはずですが……。
ええ、パッケージで泣き顔デビューしていましたね。香月さんの家で偶然、見てしまいましたから。お店で見た気はしませんが、そもそもどこで売っているのでしょうね。
「今日は香月ちゃんリクエストで、神父さんもスタンバってるからね」
「え?香月さんのリクエスト……ですか?」
「将生が俺と結婚してくれるって言うから、式を挙げようと思って」
「血痕?けっこ…ん???香月さんと結婚するなんて、言ってません!」
「え?動画見る?」
「いえ、結構です」
そうでした。酔って、酔わされて記憶を飛ばしてまったのでした。
「はい、今日の衣装ね」
あれ?白いタキシードですか?と言う事は香月さんがウェディングドレスでしょうか。
そう思ったら、ええそうでした。お揃いのタキシードでした。男同士でしたよねえ。
ご存知ですか香月さん?同じ格好をすると足の長さも、そのスタイルの違いも顕著にわかるんですよ。
「教会に二人で手を繋いで入ってくるところから撮るよ。はいっスタート!」
久々に聞いたカチンコの音にスイッチの入った香月さんが、ものすごく色っぽい目をして僕の手をとりました。
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