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Act.17 ごめんなさい
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結婚式って挙げたらそれで夫婦……そんな理由ないのは誰でも知っているはずです。
でもね……相手が……香月さんですよね。
どう考えてもお芝居では済まなくなりますよね。うん、そうですね。だって神父さんまでリクエストしたのですから。
これはきちんと話をしないといけません。でも、どうきちんと話をするればいいのでしょう。
「香月さん、この際ですから言っておきますけれど。男同士って結婚出来ないの知ってます?か」
「え?何言ってるの?ちゃんと方法はあるから大丈夫、任せておいて」
えっと……結婚する事を前提に、話は進んでいますか?いますよね。
「あの、ですから……」
「将生君、ちょっと直すわ。こっちに来て」
メイクさんに呼ばれて、「はい」と返事をしてしまいました。その間に、香月さんは他の人と話を初めて……あれ?さっきの会話は終わったことに……なってますね。なってます。
そして、いつものように髪の色を変えられて、髪形を変えられて別人になっている僕もいつの間にか撮影モードなのです。
「将生、今日は特別にかわいいよ」
本当に嬉しそうな香月さん。何故か褒められて赤くなってしまいました。僕はやっぱ嬉しいのですね。とんでもない真実を突き付けられたようで、気分が悪くなりそうです。
「じゃあ、香月ちゃん今度はここに立って。斎藤ちゃん歩いて近寄ってね、バージンロード歩くって素敵だよねえ」
残念なお知らせですが監督、僕はバージンロードを歩くことに憧れたことは、生まれてこの方一度もありません。
いつの間にか神父さんも定位置に立ってます。
結婚行進曲が流れる中、一人でバージンロードを歩いています。その絵面は想像だにしたくありません。監督の指示により香月さんの手を取りました。
なぜ?なぜに僕は変な緊張をしているのでしょうか。
「あなたは、香月柚人を夫として迎えいかなる時も愛することを誓いますか?」
「……ご、ごめんなさい、無理です」
「ええっ!何言ってんの?約束したよね、約束!」
酔っぱらいの戯言でも契約になるのでしょうか。
「そんなの許さない!」
香月さんの表情が怖いですいきなり肩を掴まれて床に押し倒されました。
「お二人共、ちょっと待ってください」
借りてきた神父さんが焦っています。喜劇を撮ってるのでしたよね。あれ違いますか。まあ仕方ないですが。
「将生、ここで前言撤回はさせないよ」
これは台本通りなのでしょうか、それとも香月さんの本音なのか割らないままです。僕の白いタキシードは着用時間役三十分で僕の体から剥がされていくことになったようですね。
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