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Act.17 また後で
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「あの、すみません。できればそろそろ」
ですよね……神父さんにそこから見下ろされているのも気分がいいものではありません。
ましてやこんな場面を見下ろしている神父さんにしてみれば、巻き込まれ事故ですね完全に。
「あ、帰っていただいて結構です」
監督の言葉に驚きました。あれ、意外とあっさり帰してしまいましたが、大丈夫なのでしょうか。
でも、これで結婚式はお流れですね。良かったと胸を撫で……おろせませんね。実際にはもう香月さんが撫でていますから。
……まあ、意味は違いますが。
「将生、大丈夫だよ。また後で来てもらうからね」
何をこの状態で大丈夫だと言うのでしょう。思わず苦笑いになってしまいました。
「ん?嬉しいの?」
どうしてか香月さんには独自のフィルターがあるようで、絶対に自分に都合の良いように受け取ります。
ところで、まだ半分位は布が身体にかかって残っていますから全裸ではありませんが……このままどこまで流れるのでしょう。
流れ着く先には何が待っているのでしょう。
「あの……香月さん、ここで…ですか?」
神父さんは帰ったとはいえ、教会の赤い毛氈の上ですごい格好になってきている事をご存知でしょうか。
これって不謹慎じゃないかと思うのは多分……僕だけですね。ええきっと、この面子だとそうですね。
今は神前での誓いの言葉よりできれば、落ち着いて考える時間がほしいです。ああ、これは何らかの儀式なのですね。
「香月さん、あの……」
「ん、どうして欲しい。言って、今日はして欲しい事をしてあげるから」
して欲しくない事はたくさんあるのに、して欲しい事は思いつきません。
「んーと、将生のいいとこはここだよね」
いつの間にか体の中に埋め込まれた香月さんの指先が、ぎゅっと気持ちのいいところを擦った。それから、足の付け根のところを押されてぞぞっとする感覚が上がってきました。
「……んんっ」
これは条件反射です。決して……決して気持ちいいからでは、決して……あ、気持ちいいです。
カメラは最近風景の一部に見えてきました。
あのカメラの向こうに何千もの人がいて、見ててくれると思うとわくわくしないか?と、以前香月さんに聞かれました。
でもその余裕があるのは多分香月さんの方だけです。
僕は、もう既に何も見えなくなってきました。
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