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「すごい……きれい……」
悟に似合うなんて言われて、少し浮かれた自分を殴りたくなった。
緑いっぱいの背景に、赤、黄、白、ピンク……目の前に広がる花々。単調な感想しか言えないのが悔やまれる。確かに、綺麗に整えられている庭木や花のある庭園は、どこかの宮殿を思わせるようで女性が喜びそうだ。悟の身近な人物で言えば、花に詳しい咲良とか適していそう。
「サトル、写真撮るからこっち向いてくれ」
「写真……? なら、一緒に撮りましょうよ!」
悟がそう言いながら振り向くと、カシャッとレナードの持っている携帯からシャッター音が聞こえて。
「……って、今、撮りました?」
「撮った。可愛く撮れてるよ、ほら」
見せられた画面には笑っている悟がいる。楽しそうにしているのは明らかで。そんな顔でレナードに言っていたのだ。
「ああっ、恥ずかしいから消してください……!」
「じゃあ、今度は一緒にだな」
「え、えっ……」
ちょっと待って、という暇もなく、次のシャッターが切られる。直前で無理やり笑顔を作ったものの、納得はいっていない。まんまとレナードの思うツボにはまっているじゃないか。
少しレナードに悪戯をしたくなって、先行くレナードを追いかけて手を捕まえる。
「次は……ああ、もう少し見るか?」
それを待って、という意味に捉えたレナード。
でも、本当は違う。指を絡めて手を繋ぐと、ピクッとレナードの手が反応した。悟の心臓もドキドキと高鳴っていく。
「手を、繋ぎたくて……本当は嬉しかったから」
「こっち」
「あ……っ!」
ぐいっと引っ張られて、開放的な場所から入り組んだ場所へ入っていく。レナードが大股で歩くものだから、ついていくのに必死だった。
どこだろう。説明をしてくれないからわからない。気づけば人影もだいぶ少なくなってきている。そして、ついに庭木の裏へ行くと、レナードに引き寄せられて、簡単に悟はレナードの胸にすっぽり埋まってしまう。
「すまない、サトル。許してくれ……」
なにを、と聞く前に、唇を重ねられていた。悟は咄嗟にレナードの胸板を押す。
「そ、外ですよ……!」
「ここなら誰も来ないし、見られない」
「んっ……」
奪うような口づけだ。深くは口づけていないのに、何度も角度を変えて啄んできて、濃厚かつ情熱的だった。このまま食べられてしまいそう。
人の気配がないことは事実。しかし、庭木に囲まれているわけではないから、完全に隠れてはいない。本当はどこかで誰かに見られているかもしれないのだ。それなのに──。
「可愛い。サトル、可愛い……好きだ。好きだ……」
熱っぽく口説く声が、悟の中へ浸透していって堪らない。
だめ、やめて。それはただ思うだけだ。キスの感触、レナードに求められて、きゅうっと胸が締めつけられる。
悟は、いつの間にかこの口づけに酔いしれていた。
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