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午前中の授業は全て受け、体調が悪いと言って学校を早退した。…あー、眠い。けど、寝たら拗ねるだろうなぁ、あいつ。折角午後の授業をサボったんだし、バイトも休みなわけだし、爆睡したい。家に帰る事すら面倒になってきた。もうコンクリートの上ででも良いから寝てしまおうか。
玄関の鍵を開け、家に入る。誰も家。実家だったら、俺が帰ってくる頃にはもう弟達が帰って来ていて、騒がしかった。だから、最初この家に住むとなった時、落ち着かなかった。今では普通だけど、時々実家に帰ると懐かしくなる。
服を着替えてソファに倒れる。先に風呂に入ったら、怒られそうだからなぁ。椎那は女みたいに感情的に起こるから、泣くは叫ぶは…。最終的には、自分自身を責める。俺は、抱き締めたり、頭を撫でる事しか出来ない。…だって、どうやって泣き止ませたらいいのかわからない。変な事を言って、余計に怒らせるのも嫌だし。…やべ、寝転がったら余計に眠たくなってきた。
「ただいまぁ。」
「…おかえりー。」
ちょっとだけ寝ようと思ったら、帰ってくるんだもんなぁ。しかも、嬉しそうに。
「…眠たいの?」
「んー、風呂入ったら目覚めるだろ。」
「そう。」
ソファの背もたれから顔を覗かせて、俺の頭を撫でる。いつも頭を撫でる側だから、偶にこうして頭を撫でられるのが新鮮で嫌じゃない。椎那は、髪をセットしてもお前には似合ってないと、俺が言ったせいか髪をセットしていない。単純な奴だ。俺がそう思うだけであって、他の奴はお前の思惑通りにカッコいいと思うかもしれないのに。
立ち上がると、抱きついてきて仕方なく抱き上げると首に腕を回される。…これじゃあ、お姫様抱っこじゃん。
「…ねぇ、聞いてもいい?」
「ん?」
「何で、耳…また開けたの?」
「あー、特に意味はねぇよ?ふと思ったから開けただけだ。…何でそんな顔してんだよ。心配し過ぎだ。」
そう言って、さっきは撫でられたけど、今度は撫で返す。
本当に、特に意味はない。何となく開けようと思ったから開けたわけで、嫌な事があって開けたわけじゃない。それに、俺が少し痛い思いをするだけなのに、何で椎那は自分の事のように不安そうな顔をするんだろ。気にしなくて良いのに。俺の事を気にするんだったら、自分の事を心配してろ。
服を脱いで、お互い裸になる。何回も見ているのに、椎那は毎回のように顔を赤くして、自分の体を隠そうとする。…行為の終わった後、誰が体を洗ってやってると思ってるんだか。もう何回も見たし、触ったんだけど。自分の体を見られるのは嫌がるくせに、俺の体はずーっと眺める。
「厭らしい目で見んな。」
「へへ…だって、好きなんだもん。」
「ふーん。」
じゃあ、俺だって椎那の体を眺めてやろう。そんな俺の視線に気づいたのか、急所と胸を手で隠し俺を睨む椎那。…隠し方が女みたい。男はしただけ隠せばいいだろ。ほっそい手首を掴んで頭の上にあげる。相変わらずほっそいな。俺、一応栄養バランスとか考えて毎日料理作ってるし、時々おやつも与えてるんだけどな…体質の問題か?
「離せー!」
「お前、ちゃんと弁当食ってる?俺の作ったの不味いからとかで、吐いてないか?」
「え?不味くないよ、美味しいよ?」
「なんかさー、1年以上一緒に居んのにお前ずっと細いなと思って。」
「ちゃんと全部食べてるじゃん。吐いてもないよ。もったいない。」
「だったら良いけど。」
「だから…そろそろ手離して。」
「やだ。」
俺の方が体格もあるし、力もあるからか片手で掴んでいるだけなのに逃げれないらしい。…ひ弱。体毛も薄い。肌も綺麗。化粧水とかしているっていうのもあるんだろうけど。俺の周りに居る奴等の中で一番肌が綺麗な方だと思う。何気に頬のもちもち感、俺好きだし。そろそろ離してやらないと泣きそうなので、手を離してやる。
「今度、どっか食いに行くか。」
「嫌。」
「何で。偶には良いだろ。お前、いつもテレビ観ながらこんなデートしてみたいとか言ってるだろ?」
「行くんなら個室が良い。」
「そんな高いとこ行けるか。」
「じゃあ、カラオケ。」
「カラオケって…飯屋じゃないだろ。」
「…ラブホ。」
「飯食いに行くのそんなに嫌なわけ?」
まず、個室は俺がいくらバイトしているとはいえ、高いとこに食べに行ったらすぐ金がなくなる。カラオケは、まぁ食べ物がないわけではないけど…違う。ラブホはもっと違う。
「何処か行くぐらいだったら、郁と家に居る方が良い。郁のご飯美味しいし。」
「変わり者だな。」
「だって、また郁が他の女の子に見られるのムカつく…。」
髪を洗ってやってると、そう椎那は素直に俺に言った。…あー、お前嫉妬深いもんなと今更ながらに気づく。周りの奴等は、彼女の嫉妬とか束縛が重いとか言ってる奴が多いけど、俺はそういうの逆に良い。別にMというわけじゃないけど、束縛とか嫉妬とかされたいんだよな。だから、付き合うってなった時も、椎那は自分で自分の事を重いと言ったけど、俺はそれを歓迎して今こうして付き合ってるんだよなー…。
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