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スーツ姿の彼(9)
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一目惚れ、だったのだと思う。
白い肌に黒い髪。そして、紅を添えたような桜色の唇。
彼がここに異動してきてから怒鳴ることしかしていないかもしれない。
男に、それも部下に惚れてしまって距離感が掴みにくい、というのもあるがそれ以上に彼は、どんくさい。
◆◇◆◇
今日は飲みに行くことに。
例によって彼は、断り切れずに付いてきてしまったようだ。
(馬鹿だな…)
女性に挟まれて、半強制的に飲まされている。でもどうせ心の中では喜んでいるのだろう。
すると彼がこちらに助けを求めるような視線を送って来た。
自分の心の中にあるものを気づかれそうで、思わず反らしてしまった。
不信に思われただろうか。
しばらく一人で飲んでいると
「あれぇー?深町さん潰れちゃった?」
「起きてー、まだ飲もうよー」
どうやら寝てしまったようだ。
「おい、深町寝たんなら俺が送ってくわ。どうせそろそろ帰ろうと思ってたからな」
本心だ。
「深町、おい」
試しに頬をぺちぺちと叩く。
…反応はない。
仕方なくお姫様抱っこのようにして抱え、車の後部座席に寝かせた。
彼の体は思ったよりも軽く、すんなりと運べた。軽すぎるんじゃないかと思ったくらいだ。
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