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スーツ姿の彼(10)
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結局一睡もできないまま朝を迎える。
ベッドで寝ている部下を起こしに行ったのだが、ぐっすりと気持ちよさそうに寝ていたので起こす気になれなかった。お昼頃に起こせばいいか。
朝食の支度をするために冷蔵庫を開け、卵とベーコンを取り出す。
パンは焼き、先ほど出したもので目玉焼きを作る。
いつものように一人で朝食を済ます。彼の分は起きてくるかわからないので、それからでいいだろう。
もくもくと食べる。
食器を片し、昨日の夜のうちに洗濯しておいた服をベランダに干す。
テレビを小さめの音でつけ、ぼーっとそれを見る。室内はクーラーがついていて涼しい。
テレビでは、「夏のレジャー特集!」なんかをやっていた。その番組が昼前に終わったのでやることがなくなった俺はベッドで寝ている彼の様子を見に行くことにした。
すーすーと気持ちよさそうな寝息を立てて、寝ていた。もう11時前だぞ。
枕の横に投げ出された手に、こそこそと人差し指を入れると、赤ん坊のようにきゅっと握ってくれた。
すこぶる可愛い。
きゅっと握られた手はそのままにして、反対の手で髪に手櫛を通した。
口元がわずかに綻び、体がもぞ、と動いた。が、起きる気配はない。
握られていた手を抜くと彼の指がぴくりと動いた。
夏であるにもかかわらず、真っ白な肌。唇に触れてみる。
ふにふにとした感触で柔らかい。
そのまま人差し指を唇の隙間に入れ込むとちうちうと吸われる。口の中が熱い。本当の赤ちゃんみたいだ。
変な気分になってきたので慌てて指を引き抜く。まだ指先に熱が残っている。
熱を冷まさせようと、台所の水で手を洗う。
一息つき、落ち着かせる。
落ち着いたので、ベッドで寝ている彼を起こすことに。
「深町、深町、深町ー、ふかまーち」
数回の呼びかけに、小さな声を漏らしながら目を開けた。
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