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悪夢
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「…すっ、ぅ、」
彼は胸を激しく上下させ、そして目は瞑っていた。
「…気、失ったのか、」
彼のつやつやした黒髪を手でクシャっとする。
辛そうにしながらも綺麗な寝顔をしている彼、
でも彼は自分の大好きだった人の、仇なのだと、、
そしてその人は彼さえいなければ、あんな事にはならなかったのだと。
ほとんどは彼のせいだ、七海のせいだ。
でも…
あれからずっと、自分が嫌いだ。
何で守れなかったのだろうか、
なぜ何も出来なかったのだろうか…
答えは1つ
…自分が、未熟だからだ
これからもずっと、自分のこの鎖が解けることもないだろう。
ずっと過去に囚われたまま、生きてかなきゃいけない。
もう一度七海の寝顔に目をやる。
彼はスヤスヤと気持ちよさそうに寝ていた。
「…鼎にぃ、」
もう戻らないはずの自分の大好きな人
名前を呼んだところで来ないと自分で分かっているから
胸が締め付けられた。
殺したいッ…!
彼を、自分を、
自分も恨んでいるし、それ以上に七海も恨んでいる。
恨んでいるけれど…
「…でもにぃは、」
きっと優しかった兄はこれ以上なんて望まないだろう。
彼の懇願した時の顔が忘れられない。声が耳に残ってる。
「ごめんなさい…鼎にぃ、」
ごめんなさい、ごめんなさい…ッ
要はそれだけ呟いた。
俺はもしかしたら…こいつのこと…
「にぃ、…俺は」
そこで要は目を瞑った。
そうだ、これは小さい頃の悪夢、きっと悪い幻。
信じたくもない、でも信じなきゃいけない…
俺が囚われてる過去の話。
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