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5日間〜要過去編〜
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次に目が覚めたのは、病室の一角だった。
腕には点滴がチューブで繋がれていた。
(あ、れ…俺は何でここに…確か、あっ…にぃ、
にぃはッ…!!)
そうだ、あの時確かに兄は、あに、は…
頭が痛い、兄はあの時…嫌だ、思い出したくない。
きっと夢だから、兄は、っ
きっと家で俺の帰りを待ってるから…
ベッドから身体を起こし地に足を付けるとふらついた。
きっと俺は長時間寝込んでいたのだろう。
点滴を腕から引き抜き、病室の扉に手をかけた。
そして今出せる最大限のスピードで走る。
にぃっ、にぃっ…
兄の待つ家へ、駆け出した。
通り過ぎる人が驚いたような顔でこちらを見つめていた。
その中には医者や看護婦もいる。
「ちょっと、要くん!?」
が、すれ違いざま看護婦さんに腕を掴まれた。
「駄目よ、要くん!貴方、5日間も眠ってたのよ!?
目が覚めたのは良かったけれど今は安静にしていなさい」
どうやら俺の担当をしている看護婦のようだ。
俺は5日間眠っていた、と…
じゃあ兄は…
「にぃ…兄はッ、!鼎にぃは?!鼎にぃきっと家で待ってる…ここに運んできてくれたのはにぃでしょ?!ねぇ、そうだよね、にぃがいないわけない…にぃは、にぃは?、助かったんだよね?無事なんだよね?!」
俺は看護婦の腕を掴み、激しく揺すった。
「…」
だが看護婦は黙って、俯いていた
そして、覚悟を決めたように顔をおこし、悲しそうな顔でこう、一言告げた。
「お兄さんは…千歳鼎さんは────────
っ、お亡くなりに、なりました。病院についた時にはもう、既に…」
手が震える…
嘘だと信じていたのに…
あの光景を…
自分の中でかすかに残る可能性だけ信じていたのに、
たった一言で兄の存在が消えたことが証明された。
声も出ず、生暖かい涙だけがポロポロと頬を伝う。
......................................................
俺はタクシーに乗り、家に向かっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「──ッ、にぃは…今どこにいますか…?にぃの身体は、
今…何処にありますか?」
「お兄さんは…
多分家にいるわ、もう葬式は済まされちゃったかもしれないけど…」
「ッ…家、帰ります」
「あっ…ちょ、!要くんっ!」
俺はさっき看護婦の手を振りほどいて、そこのタクシーを捕まえた。俺がいない5日間で兄は灰へと変わっていた。
きっと両親が忙しいから、警察のやる事が終わって直ぐに葬式を挙げたのだろう。
「ここでお願いします。」
ポケットに突っ込んできたはた金を運転手に渡し、家へと走った。
だがそこにはkeepoutの文字が書かれたテープが貼られており、警察官が立っていた。
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