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頑張った証拠
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スパゲッティが二人分できて、
そのまま翠の元へ向かう。
具はベーコンとほうれん草という超シンプルな作り。
すると翠はテレビを見るのをやめ、俺の持っている
皿を不思議そうに見つめだした。本当翠って、
何にでも好奇心旺盛だよな。安の定、翠に問われる。
「きょうのごはん、これ…なに?」
「スパゲッティだよ」
「すぱげ、てい…?」
上手く言えていなくて思わず和んでしまう。
「えっと、パスタだパスタ」
「ぱすた…」
俺の言ったことを繰り返してから、翠は
鼻をくんくんさせて尻尾をユラユラと揺らす。
そして二人でいただきますと発し食べ始めた。
すると翠が自分で切ったベーコンを頑張って
フォークで刺し、それを眺めてしゅん…とした。
「…上手に、できなかった…」
翠の切ってくれたベーコンはかなり細く
フォークで取ろうとしても大体隙間から
スッと落ちてしまう感じだった。
でも俺にはそんな形とかはどうでも良くて、
ただ翠が頑張ってくれたのだと思っただけで
今日の昼飯今まで以上に旨く感じた。
「でもこれ翠が切ったってすぐ分かるよ。
あ、悪い意味じゃなくてね?
頑張って切ってくれたってのが凄く分かる」
「俺…がんばれた、の…?」
「うん、これは頑張った証拠だな」
「…嬉しい」
翠ははにかんで頬を赤らめた。
そんな一つ一つの動作が、本当に可愛くて
俺と翠の二人だけの空間を凄く暖まった
雰囲気にしてくれて、翠はすごいんだな
…と思う。
俺だけじゃなくて、いつかは他の人とも
話せる日が来れば良いな。と俺は心の中で
翠に呟いた。
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