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君との始まりの日 【--- Side】
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君は、僕に沢山のものをくれた。
それなのに
僕は君に何かしてあげられただろうか?
いや、なんにも出来なかったよね。
…なんにも。
僕のせいでこんな事になってしまったんだ。
何百回、何千回謝ったって君は僕を怨むだろう。
それは正しい。当然だよね、分かってる。
この罪を償える唯一の方法は、きっと───
---------
…綺麗。
僕の隣にいるのは小さな白い花。夕陽の光を
直で浴び、その花は夕陽色に染まっている。
この花は、独り…なのかな。
辺りの狭い野原を見渡すも、他には見つからない。
「おんなじ…」
そうだ、僕は独りだ。両親の顔なんて全く
覚えてなければ、帰る家もない。何故かは
詳しくは分からないけれど、まず僕が人間じゃ
ないからだと思う。
それか、見た目...とか。
僕は生まれつき白い髪で伸びた前髪は目を隠す程。
それのせいで気味悪がられたのかも。自分でも
この髪色、好きじゃないしな。
だから居場所がなく、地面の田んぼから高い
位置にある狹い野原にただひとつ佇む屋敷神に、
雨宿りができる所としてお世話になっていた。
…というか、僕がここから動かないだけなんだけどね。
行く場所というものがないからさ。
ここは静かで気に入ってはいるが、稀に
やって来る人が暇つぶしか何なのか、僕を
殴ったり蹴ったりしてくるのは…嫌だな。
自分は人と話すことが得意じゃないから、
反抗なんて出来ないし…
この辺の人並みは少ないが決して居ない訳ではない。
だからそんなことがあるのは僕にとって珍しくない
ことだった。
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