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(――え?うそっ、そんな……まさか、まさか……いや、でも……でも……そんな事あるはずないのに)
俺は木下さんの胸の中で、ひたすら混乱して動揺して硬直していた。
木下さんに抱きしめられているという、嘘のような現状。
直に感じる木下さんの温もり、匂い、甘く響く声。
それらを全身で感じてしまい、苦しくて今にも息がとまりそうだ。
「柘植さん」
「――っ、は、はい!」
抱きしめられたまま不意に名を呼ばれて、慌てて口から出た返事は掠れて潰れたような声。
「好きです。あなたが好きです。本当に、どうしようもなく、好きです」
まもなく耳元で囁かれた言葉に、耳が一瞬で沸騰したように熱を孕んだ。
そこからはあっという間に顔中に熱が広がり、あまりの事に涙まで溢れてきた。
「ふっうぅぅ、くっ、ごめっ、ごめん、なさ……好きになって、ごめんなさっ」
「……えっ?」
「俺なんかに、そんな資格なんてないのにっ、ごめんなさい、本当にごめんなさい!」
もう、何もかも今更なのに、気持ちまで溢れて決壊してしまった。
好きの気持ちと罪悪感と後悔がグチャグチャで、まるで子供のようにみっともない位に泣きじゃくっていた。
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