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驚いて咄嗟に振り返ると、木下さんがいた。
(え……木下さん?なんで……)
木下さんが目の前にいる事が信じられず、酔ってしまった自分の幻覚ではないかと目をゴシゴシと擦る。
(そんな、都合良く、いる訳ないじゃないか。なんだよ、俺、相当酔ってるな)
自分の諦めの悪さに苦笑しながら再び目を開き、何度も凝らして見たが、木下さんの姿は消えない。
それどころか、はっきりと確かに存在していた。
(えっ!!木下さん!?何でこんなところ居るんだよ!?)
何故か盛大にひっくり返っている同僚の横に、綺麗な所作で正座する木下さんを目で追う。
木下さんは、起き上がろうとする同僚に何かを耳打ちすると、同僚の表情が一変した。
「……マジ?」
同僚の小さな呟きに、深刻そうな様子で木下さんが頷いて、再度、同僚に耳打ちする。
すると、同僚は急に立ち上がり、木下さんに礼を言うと、慌てた様子で上座の方へと去って行った。
あっという間の出来事に、一体何が起きたのか分からず呆然としていると、木下さんが立ち上がって俺の方へと歩み寄ってきた。
「ちょっと涼みませんか?」
座敷に座り込む俺の前に、片膝をついて手を差し出す木下さんの姿は
まるでどこかの国の王子様みたいだった。
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