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「あのっ……アイツの慌てっぷりは何だったんでしょうか?」
気が滅入るところを見せる訳にはいかない、と気持ちを奮い起たせて出た第一声が、先ほどの同僚の事だった。
それを聞いた木下さんの顔から、一瞬だけ笑顔が消えた気がした。
「あぁ。彼の事なら、柘植さんは心配なさらなくて大丈夫ですよ」
そう言って笑う木下さんの笑顔が、若干怖いものに見えたのは、きっと目の錯覚だろう。
(そうだ、木下さんだって、きっと疲れてるんだよ。)
「……それよりも、俺は柘植さんの涙が気になります」
「……は?」
恐ろしい事を耳にしたような気がして、木下さんを凝視する。
木下さんは、笑顔を完全に消して俺を見据えていた。
(い、いま、何て言った?聞き間違いでなければ、『涙』って言ったような……。もしかして、泣いてるの見られてた!?いやいや、まさか、そんな事あるわけない。あんなに大勢の前で挨拶してたんだ。気付く訳がな…)
「何故、泣いていたのですか?」
「えっ!?」
(聞き間違いじゃなかった。マジか……マジで見られてた!?ちょっ、何で!?どうして!?ヤバイ、とにかく誤魔化せ!)
「は、はは。気のせいじゃないですか?俺は泣いてなんて…」
「誤魔化さないてください。皆の前で挨拶している時に、この目で見ましたよ」
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