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「何食いたい?」
よつばを抱き上げ冷蔵庫の中を見せながら問いかける。
冷蔵庫の中を見つめる不思議な色の瞳は入っている食材にうろうろと目移りして忙しそうだ。
「よつばの好きな食べ物ってなんだ?嫌いな食べ物とかアレルギーとかは?」
嫌いな食べ物と聞いて真っ先に指を指したのはにんじん。
にんじんかぁ…下の弟もにんじんが嫌いでいつも残していたのを思い出す。
あ、今も残してるわ。
「にんじん嫌いなのな。アレルギーはないか?」
アレルギーがなんなのか分からないらしくぽかーんとして俺を見上げてきた。
「アレルギーのもの食うと苦しくなったり、体が痒くなったりすんだよ。そういう食べ物、今まであったか?」
アレルギーを説明するとぽかんとしていた顔が曇る。
…またなんか嫌なこと思い出させちまったみたいだな。
「よつば、怖い事思い出したか?大丈夫、こっち見ろ。今一緒にいるのは俺だ。お前の怖がることはしねぇよ。」
泣かせてしまう前によつばの顔を俺に向けさせる。
よつばは何かを思い出すと俺を親と重ねてしまったりその時の光景が幻覚として見えてしまってるような気がする。
俺が手を伸ばした時怯えて後ずさりしたり、湯船を見て怯えたりしていたから。
だとしたら目の前にいるのが俺だということと、ここが俺の家だと早く思い出させて認識させるのが一番だ。
よつばの目を見つめながら優しく背中を撫でればだんだん元に戻っていく。
完全に元通りになったよつばはぎゅっと首に絡みついてきて結構苦しい。
「大丈夫、大丈夫。大丈夫だからちょっと離そうな?俺苦しいから、な?」
離してくれと頼むと嫌々をされよりよつばの細い腕に力が入る。
「ちょ、待て!苦しっ…!よつ、ば…はっ!」
俺の苦しげな呼吸が聞こえたのかよつばの腕が解けていき急いで息を吸う。
どこにこんな力あったんだ…。
自分でやったくせに凄く心配そうな顔でのぞき込んできて
お前のせいだよとは言えなくてとりあえずよつばを床に下ろした。
また締められたら大変だからな。
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