アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
39
-
よつばを抱き上げ洗面台まで歩く。
抱っこされるのが好きなのか高いところが好きなのか嬉々としながら腕の中に収まっている。
その小さな手は落ちないようにしっかり俺の肩を掴んでいる。
床に下ろしてコップに水を入れ、それを渡すと代わりに瓶を手渡される。
さっき美咲が立てていた指は1本だから1粒薬を出して、薬を待ち構えて開けられている口に放り込んだ。
と同時に誰かと競走しているかのように勢いよく水で流し込んでいく。
「そんなに急いで飲んだら喉に詰まるぞ?」
コップいっぱいに入れた水をゴクゴクと飲み干し空になったそれを俺に突きつける。
その顔は何故か得意気だ。
「ちゃんと飲めて偉いな。…もう首、搔くんじゃねぇぞ?」
美咲に手当してもらった首は案外傷ついていたようで少し血の滲んでいるガーゼをそっと撫でた。
痛かったのか、くすぐったかったのか、よつばの肩がぴくんと揺れた。
「もう、怖くねぇからな。お前を傷つける奴は、ここにはいない。」
小さな傷だらけの体を抱き寄せる。
遠慮がちに細い腕が背中に回された。
「よしっ、寝るぞ〜」
そのままよつばを抱き上げて寝室へ戻る。
おかえり〜と手をひらひらさせる美咲によつばが手をひらひらし返す。
ベッドに寝かせるとまだ何か話したかったのか手を伸ばしてくるが薬が効いてきたようで瞼が下がってきている。
「大丈夫だよ、僕今日はお泊まりするからまた明日話そうね。」
美咲がそう言うへらっと笑ってから俺の方を見る。
その手を握ると小さく握り返された。
「ゆっくり休め、おやすみ」
「おやすみ、よつばくん」
2人で笑いかければよつばは幸せそうに頬を緩ませゆっくりと眠りについた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 51